長走川 鈴ヶ滝沢~杉ノ沢

加治川流域で未遡行のルートは、難易度が高いところや二日では足りないところのみとなってしまった。今回は匿名さんが参加するので、反時計回りで次の流域にあたる長走川の沢を遡下行することにした。
長走川は初めてなので、下見の要素も多い。特に水沢集落からの林道の状態や、所要時間は今後の重要な参考資料になる。

7月30日:曇一時雨

前日は麒麟山公園の駐車場で前泊し、水沢集落方面へ向かった。林道の状態は想像していたよりもましで、水沢川左岸から右岸にわたって分岐するところまでは、まったく問題なかった。分岐直後に広い平坦な広場があって車を停めるのにちょうどよいが、峠を越えるにはかなり手前だ。この辺りから道が荒れてきて、丁寧にくぼんだところを避けて走らないと車の底を擦ってしまう。棒掛山北東にある990ピークのさらに北東のコルから流下する沢が道を横切る辺り一帯が、堰堤とともにコンクリートで固められて開けているので、そこで車を停めた。

車を降りると、早速虻に囲まれ、それ以降終始まとわりつかれる。沢支度をして歩き始めるが、以外にも林道は分岐から車を停めた沢の間程荒れているところはなかった。車を停めたり、方向転換するスペースが少ないので、先へ進むとなると峠まで行かなければならない。峠から長走川へ下っていく側はむしろ道がいいくらいだが、やはり方向転換できる場所や車を停める場所がほとんどないので、峠まで車で入るのがよいのではないだろうか?オフロード車なら全く問題なさそうだ。

九十九折りになったところを過ぎて、オット沢へ向かって真っすぐに降っていく途中で、長走川下流へ向かって降りていく藪道に踏み入る。踏跡は明瞭だがかなりぬかるんだところがあるので、沢靴を履いていて正解だった。沢音が近づいてきたころ、鬱蒼と茂る草藪を掻き分けると河原に出て、直ぐ上流側には古い吊橋が架かっていた。河原で小休止したが、その間も絶えず虻がまとわりついていた。

長走川本流の河原

長走川は平凡な河原が続き、深場を避けるように徒渉しながら下降していく。大面沢出合まで100Mくらいの辺りからはゴルジュとなり、胸まで浸かるところもあったが、平水ならば特に難しいところはなかった。

本流を下降

大面沢は出会いから鈴ヶ滝沢出合まで平凡な河原が続く。谷幅が広いせいか中州がいたる処にできている。

出合から続く河原

鈴ヶ滝沢は本流と(1:1)で出合っている。中州の下流側と同じように流れが分かれるので、危うく通り過ぎるところだった。鈴ヶ滝沢を遡行し始めるとすぐに両岸の緑が近づいてきて、開けた河原から森の中という雰囲気になるが、見る見るうちに草付きのV字谷へと変わってくる。

鈴ヶ滝沢に入る

4×2の滝を簡単に越えると、両岸とも手がかり少ない壁の間に6M滝が懸っている。しばらく登攀ルートを探るがいいルートが見つからず、右岸ルンゼからやや大きめに巻いた。左岸には岩壁が続き、右岸も岩壁になると、両壁の間に7Mの直瀑が懸っていて登れない。少し戻って、左岸枝沢のあたりから草付の中を疎らに生えるブッシュを経由するように登って、滝を見下ろす位置に立ち、懸垂で沢身に降りた。出合から早々に大変な沢かもしれないと思ったが、大変なのはここまでで、以降はしばらくゴーロとなり、懸る滝も簡単に登れる滝が続く。

7M滝
7M滝を越えると少し落ち着く

右から2M滝を懸けて流れ込む枝沢と両門をなすように懸るナメ滝と越え、さらに次のナメ滝を越えると、10M滝が懸っていてちょっと登れない。右岸のブッシュ帯に取り付いて巻いていくと、滝上にはさらに5Mの似たような滝が懸っていたので、まとめて巻いて5M滝の落口上流10Mくらいのところに降りた。巻いている途中に雨が降り出し、沢に降りたころ土砂降りになった。昼食を摂りながら長めの休憩を摂って雨が小降りになるのを待った。

両門をなすような滝を越えたところ
8×4ナメ滝
10M滝
土砂降りになって水が濁ってきた

この地点で、すでに水流はかなり少なくなっているが、次々に左岸にそこそこ水量のある枝沢を分けていく。この間所々に簡単な滝が懸っているが、問題なく越えていく。やがて登れない5M滝に行き当たるが、右岸のルンゼから巻いて、草付を万全を期して懸垂で下って沢身に戻った。

7M階段状の滝
5M滝

950M手前で、細い枝沢をいくつか右に分け、2M滝を過ぎると、8M滝に阻まれ、左岸のブッシュ帯に取り付いて、続く3M滝ともども巻いた。

8M滝

沢身に戻って遡行していくと、流れていた水は湧き水の湧出口に消えて涸沢となる。水がなくなった窪を辿っていくと、再び細々と水が流れ始め、幅1Mもない細い窪になってくると源頭の湿地に出た。

源頭の湿地

一帯には、いくつかの湿地があって、それぞれ異なる沢へと続く窪に通じている。窪から窪、窪から湿地へとトラバースして、杉ノ沢側の斜面を下降する。

湿地帯を繋いで杉ノ沢を目指す

ブッシュ帯を下降していくと、間もなく杉ノ沢源頭の窪に出た。イタドリのボサが少々煩いが、滝もなく平凡な流れが続く。斜度が落ちてきても、両岸ともブッシュが茂る傾斜地が続き、泊まれるような河原が見つからない。850Mで蒜場山直下から流れてくる本流に合し、さらに降っていくが、結局幕場適地と言えるようなところはなく、760M付近で、水面からあまり高くもない河原を整地して、イタドリを敷き詰めた上にテントを張った。

杉ノ沢源頭部の窪

意外にも少ない薪に順調に着火して焚火ができ、快適な一夜を過ごすことができた。

幕場

7月31日:晴時々曇

幕場から下降を開始する。700Mで左俣を(1:1)で併せ、さらに左岸から顕著な枝沢を合わせる辺りまでは、平凡な河原状の流れが続くが、相変わらずテントを張れるようなところはほとんどない。

幕場付近

小釜が続く小ゴルジュとなると、3M滝を懸けて一気に深いゴルジュへと続く。3M滝は左岸上部に残置ハーケンを発見し、これに捨縄をタイオフして、滝身を滑るように振子懸垂で滝下の釜に沈む丸太上に降りた。右壁が抉れたようにハングしている。続く2M滝右岸のバンド状の岩を懸垂で使ったロープを抜かずに補助として使って降ると、一旦ゴルジュが途切れる。

3M前後の滝が懸るゴルジュ

左から滝を懸けて枝沢が流入すると、流れは再び滝となってゴルジュの中に落ち込んでいる。滝下の釜は縦に渦巻いており、さらに滝が続いているようなので、右岸のスラブを登ってブッシュ帯に取り付き、滝場を巻くことにした。スラブの中に点在する足場と細いブッシュを繋いでいくと、最後は樹林のテラスに出て、ここで後続を確保した。テラスから下降して沢身に戻ると、やや開けた流れとなる。

渦を巻くような水流のゴルジュ

右手に崩壊地を見るとゴルジュとなり、簡単な4M滝を降り、ゴルジュ末端の5M滝は左岸のブッシュに捨縄を懸けて、滝の右岸側の壁を懸垂下降した。左岸に段丘状になった林があり、その下にブルーシートの包みを見つけた。平凡な河原状の流れが続き、(2:3)の水量比で右岸から淀ノ沢を併せる。

ゴルジュを巻いた後の開けた渓相
4M滝
5M滝
淀ノ沢出合付近

蛇行しながら左右から枝沢を併せていくと、2×4の緩い滝からゴルジュ帯が続いている。しばらくは浅い釜に浸かりながら問題なく下降していくが、両岸高く切り立ってくると、沢は10M以上の滝を懸けて急激に高度を下げている。下部にはさらに滝が続いているようで、視界の左には、滝下のゴルジュの底に滝を懸けて水流を注いでいる枝沢が目に入る。懸垂下降しようなどという気も起きず、少し戻って、ブッシュが谷底まで続いている小尾根に取り付く。

狭隘なゴルジュ
滝となって一気に落ち込んでいる

標高差100Mくらい登り続けて、松の木が生える尾根で一息つく。ここから一旦下降してみるが、最初に降りたところが途中から急峻に落ち込んでおり、ブッシュが続いているか見極められなかったため、安全策を取って元の尾根に登り返した。結局ここからさらに100M登って、標高700Mの尾根の合流点から、南側の尾根を下降して谷に戻った。この尾根上には踏跡があったので、人の往来があるようだ。ここから出合まで、ゴルジュが続くものの滝はなく、歩くだけなのだが、非常に長く感じられた。

右岸の巻き 松の木の下で一服
ロープが届きそうなところを見繕って懸垂下降
杉ノ沢下流部

出合からは一気に水量が増すが、谷幅が一層広くなるため、水深は変わらない。所々深くなったところや、幅が狭まって流れが強いところがあるが、問題になるところはない。また、一か所深場があったが、左岸に巻き道があり問題なく通過できた。

長走川本流

与兵エ沢出合を過ぎたころ、右岸に山道を見つけて沢からあがった。踏跡は明瞭で、黒森沢を徒渉すると、間もなく林道の終点に出た。

林道終点

鈴ヶ滝沢も杉ノ沢も滝を巻いたところの一部に踏跡があり、人が入っているようである。鈴ヶ滝沢は、源頭から藪漕ぎをすれば、蒜場山までそれほど遠くないので、遡行する人がいるかもしれない。杉ノ沢はブルーシートがあることから釣師の出入が考えられる。

 

同行者の記録

遡行図:鈴ヶ滝沢杉ノ沢


山行最終日:2016年7月31日
メンバー:長島(L) 石田 匿名
山域: 飯豊連峰 阿賀野川
山行形態: 沢登り
コースタイム:
30日:林道(6:30)-上ノ峠()-長走川(8:05)-大面沢出合(8:50)-鈴ヶ滝沢出合(9:50)-稜線(15:20)-杉ノ沢標高760M付近(17:15)
31日:標高760M付近(6:45)-標高495M滝場上(11:30)-出合(15:20)-山道(16:10)-林道駐車スペース(18:30)
地形図:蒜場山
報告者:長島

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