一ノ戸川 大白布沢ヨモギ沢~イオリ沢

前日、本川を一日で遡下行してしまったので、用意していた地形図に載っている短めのルートを検討し、今回の沢を遡下行することにした。ヨモギ沢、イオリ沢ともに小さな目立たない沢で、あまり期待していなかったが、ヨモギ沢には小粒ながらも多くの登れる滝が懸っており、なかなか楽しめた。

前日同様、遅めの時刻に川入キャンプ場へ向かう。キャンプ場へ入っていく道の分岐にある民俗資料館脇の駐車場に車を停めるつもりでいたが、今年は通行止の標識がない。車で侵入していくと、道は全区間復旧されていて、キャンプ場の駐車場に車を停めることができた。

キャンプ場を後にして、長坂を経て地蔵山へ向かう登山道を右手に分けて、大滝へ向かう遊歩道を辿る。堰堤の左岸を巻いていくと、広い河原に出て、対岸の山が割れて谷になっている辺りを目指して水流を横切る。この谷の入口には、樹々が生い茂っていて、見落としてしまいそうだが、細い水流を辿って谷に入ると、意外に開けた河原が続いていた。

樹林の中の河原

あまり期待せずに歩を進めると、5M滝が現れ、小滝を有する小ゴルジュが続いている。タカツコ沢の出合のゴルジュを小粒にしたような印象を持った。ゴルジュを抜けると、河原になるが、2M滝と倒木が堆積した堰を過ぎて、谷が右に曲がると、4M Y字形の滝と5M簾状の滝が連続して懸っており、なかなか壮観である。4M滝は右側を簡単に登り、5Mは左右どちらも登れるが、左側の方が斜度が緩くて簡単そうだ。この滝の上も小ゴルジュとなっており、カーブした3段のナメ滝ともう一つのナメ滝が懸っている。

5M滝
Y字状の4M滝と5M滝

ゴルジュを抜けた後、沢は左右に曲がりくねって、小釜を持った滝が続く。いずれも小釜を持った2M2条、4Mの滝を右側を登り、樋状の流れが右に曲がると、今度は少し長くて幅の狭いゴルジュになる。側壁は高くないが、沢床から3~4Mくらいの壁が続いている。2M2段の滝を過ぎると、クランク状に左、右へ折れて、小釜を持った2M滝が三つ続く。このうち最初の滝は、手がかり少なく釜も少し深い。腰下まで釜に浸かってつっぱりで登るが、パイプを割ったようなツルツルの岩盤なので、少し難しい。続く二つの滝は簡単に越えられる。左に曲がって2×2の小滝を越えるとゴルジュを抜けて、右岸に顕著な枝沢を分ける。この枝沢が入っていることで、標高710M付近であることが確認できる。

開けた小滝が続く
4M滝
ゴルジュ

ここからしばらくは、ほぼまっすぐに伸びる平凡な河原が続き、右岸に小さな枝沢を三本分けていく。このまま詰め上がってしまうような印象だったが、前方に結構落差がありそうな滝が見えてくる。滝の基部まで来ると、遠目に見たほどではなく、8Mくらいの滝だった。この滝は、左壁に程よい間隔でしっかりしたホールドがあるので、簡単に登れた。滝上はすぐに二俣(860M)となっており、二つの流れがそれぞれ滝を懸けて出合っている。

まっすぐに続く河原
8M滝

二俣を右へ進むと、V字状に狭まった両岸の間に小滝が続く。二分した水流にそれぞれ2Mが懸り、左側の滝の右壁を登ると、奥の二俣となり、(1:1)で細い水流を分けている。左沢に入り、4M、2Mと連続した滝を過ぎると、間もなく水が涸れて、枯棚と言おうか言うまいかという程度の斜度の急登となって、1140M付近で沢形の窪が完全に消える。

小滝が続く上流部
源頭部までスラブ状の小滝が続く

ブッシュを掻き分けながら50M程登ると稜線に出て、そこから左方向へ尾根を辿ると、前日見たばかりの代塚山の三角点に着いた。

三角点から東尾根を下降してイオリ沢源頭の1028M小ピークを目指す。代塚山の東側は他の3方向に比べて明瞭な尾根地形になっているので、尾根をトレースしやすい。藪はそれほど濃くはない。少し下降すると尾根地形が顕著になってきて、尾根上には踏跡がついている。1028Mが近づいてくると、尾根上にハゲ地が現れ、周囲の展望を期待したが、ガスがかかっており期待した展望は得られなかった。1028M小ピーク一帯はなだらかな地形になっていて、どこがピークとも言い難い。

イオリ沢を目指す

小ピーク付近から東へ進路をとればよいのだが、南東にヨモギ沢の支流に通じる谷があり、イオリ沢とは、一見不明瞭な尾根で隔てられているので、確実にこの尾根の右側に降りる必要がある。今回はヨモギ沢支流の谷へ降りかかったので、一度軌道修正した後にイオリ沢へ下降した。下降した斜面はかなりの斜度があり、ほとんどブッシュからブッシュへと伝っていくような状態だった。下降を開始してから40分、標高差140Mを下降したところで、窪に降り立った。

イオリ沢へ向かって下降

狭い窪を下降していくと、左から流れてくる本流に合流するが、尚も両岸のブッシュに触れるほどの狭い谷が続く。左から、(1:3)で枝沢を合わせた後、4×5の緩いナメ滝を下降すると、次は右からの枝沢を合わせる。平凡な谷が続くかと思っていたら、突然前方が開けて8Mの滝となって水流が視界から消えている。落ち口から見下ろしてみると、中段までは下降できそうだが、そこから下の様子が分からないので、右岸のブッシュに捨て縄をかけて懸垂下降で、右岸側の壁を伝い降りた。

4×5の滝
8M滝を懸垂下降
8M滝

所々倒木と両岸から迫るブッシュが煩い谷が続くが、3M滝を二本降った頃にようやく開けてきて、ほとんど斜度を感じなくなる。ここまでくると、森を縫って流れるせせらぎのような様相となる。560M辺りまでくると、右岸に取水パイプを発見し、キャンプ場が近いことを察する。そこから少し下ると、パイプは沢を横切り、左岸の踏跡に沿って伸びている。ここで左岸にあがって、踏跡を辿ると、間もなく川入キャンプ場に出た。

樹林が広がる下流部

 

同行者の記録

遡行図

山行最終日:2016年6月26日
メンバー:長島(L) 高森 匿名
山域: 飯豊連峰 阿賀野川
山行形態: 沢登り
コースタイム:
川入キャンプ場(7:45)-ヨモギ沢出合(8:05)-860M二俣(9:40)-代塚山山頂(11:05/25)-1028M小ピーク(12:20)-イオリ沢源頭の窪(13:00)-川入キャンプ場(14:25)
地形図:大日岳・川入
報告者:長島