大倉沢・小倉沢は好天が続かない時に日帰りで行こうと、昨年から予備計画として持ち歩いていた沢である。昨年は7月に入渓しようとしたが、大倉沢の雪渓に取付けずに入渓早々に引き返した。
小倉沢に架かる橋の手前に自転車を停めて、大倉沢に向かって歩く。大倉沢へ降りるところは、去年より草が多く茂っている。河原に降りると間もなく2基の堰堤となる。右岸を巻いていくと、踏跡に出て、途中トラロープがあった。
広い河原を行くと、だんだん両壁が迫ってくる。昨年はこのあたりに、先が真っ暗な雪渓が架かり、上にも乗れないため引き返したが、雪渓がなくなってみれば、河原が続いているだけのところだった。何もないつもりで進んでいくと、予想に反して10Mの直瀑が懸る。左のスラブを登ってブッシュ帯に取付こうとしたが悪く、一旦降りて、20Mくらい戻って斜度が緩い所からブッシュ帯に取付き、10M滝を右岸から巻いた。
滝上は再び河原となり、次第にひらけてきて、左にカーブしているところで、(3:2)で右に枝沢を分けている。再び両壁が迫ってくると、谷は右に曲がって、15Mの直瀑が懸る。左岸から巻きにかかると、さらに10M級の滝が懸っているので、まとめて巻いていく。滝上は河原となっており、下降しようとすると、さらに登れなそうに見える二条の15Mはありそうな滝が懸るので、高巻きを続ける。二度、トラバース気味に落口に見えるブッシュ帯目指して下降しようとしたが、急峻なルンゼに阻まれて、ルート修正を強いられた。最後は二条の滝の上のゴルジュ帯に懸る3M滝の上に懸垂下降した。
ゴーロのゴルジュを行くと、やがて12×15の2段の滝が懸る。下段は右側を登っていくが、上段のヒョングッている所は、どうにもホールドになる所が見つからず、下段の中間点で右岸スラブの灌木を伝って、スラブ上の灌木帯に取付き、この滝の上段と、それに続く3Mをまとめて巻いた。やがて開けた河原となり、7×10の滝を登ると、(1:1)の水量で左岸に枝沢を分ける。この辺一帯で谷は左にカーブしており、左岸は湧水帯となっている。
まもなく水は涸れて、ガレの谷となる。涸棚10Mを登ると、荒寥とした左俣とどう見ても藪ルンゼにしか見えない右俣に分かれる。すぐに藪漕ぎになりそうな右俣に入るが、意外に明瞭な窪が続いており、ボサを分ける程度で、枝尾根に出た。
枝尾根の東側は栃や灌木が鬱蒼と茂って視界を遮るが、西側はブナを中心としてすっきりした林になっている。
尾根の東側をさらに東に向かって小倉沢の窪を目指す。
やがて窪に降り立つが、水は流れていない。さらに右から涸窪を併せて、10×15の棚を下降し、5Mを巻き、5M、4M、3M、2Mとカウントダウンするような高さの涸棚を下降していくと、左からわずかに水流のある枝沢が入る。この直後、標高750M付近で、右岸の二カ所に豊富な水量の湧水があり、これでようやく沢らしい流れになる。
小倉沢で初めて水流のある滝、4Mを下降すると、660Mで左岸から(1:1)の水量比の枝沢を併せる。集水域が狭いので、水量は少ないが、滝が少ないわけではない。地形図では等高線の粗密はあまりないので、予想通り大きな滝こそないが、10Mくらいまでの滝をはじめ、ここから懸垂下降の連続となる。
ロープを首にかけて、いつでも使えるようにして下降した。まずは5M、右岸のブッシュを支点に懸垂。次の10Mくらいの滝は、右岸を巻いて、続く4Mの下に懸垂。4M滝をクライムダウンした後、5M滝を倒木を支点に、つるつるの6M滝を横向きに生えた木の枝別れしたところを支点に、10Mは右岸を巻いて、下に続く5Mの下にブッシュを支点に、それぞれ懸垂下降する。
7M樋状の滝を倒木を支点に懸垂で降りると、ゴルジュとなり、出口に懸る3M滝は右岸を小さく巻いて、倒木の枝を伝って沢床に降りた。
しばらく河原を行くと、左岸の壁がハングして覆いかぶさるようなゴルジュとなる。側壁の下へ潜り込んでいくような6×8はクライムダウンするが、出口の3M滝は、右岸の壁に生える小灌木に捨て縄をかけて懸垂する。
河原となり、そろそろ橋が見えてくるかと思うが、再び両岸が狭まってゴルジュとなる。5M滝の3段になった側壁を滑り降りると、ようやく壁に挟まれた視界の先に橋が見えてきた。
橋の手前で、右岸の急斜面をブッシュを頼りに登ると、意外に簡単に林道にあがることができた。
大倉沢は開けた河原を主として、登れない大滝がまとまって懸っている、大味な沢という印象に対して、小倉沢は谷も滝もこじんまりとした小沢といった印象だった。
加治川治水ダム(6:25)-小倉沢の橋付近(6:50)-大倉沢入渓(7:10)-最初の10M滝上(8:10)-10M級の滝3本の上(10:00)-稜線(11:25)-小倉沢の涸窪(11:45)-850M付近(12:00)-小倉沢の橋(15:00)-加治川治水ダム(15:25)