内の倉川 皆口沢~入り滝沢~北俣沢左俣

台風11号から変わった熱帯低気圧の影響により、不安定な天候の中、西ノ峰越えで内の倉川中流域の支流を遡下行した。当初の予定では、皆口沢を下降し、入り滝沢を920Mまで遡行した後に、昨年の「入り滝沢下降~北俣沢」の下降ルートを辿って、さらに本流出合まで降り、最後に又八沢を遡行して、西ノ峰から往路を戻る予定だった。しかしながら、19日夜から20日午前中の大雨(新潟県で大雨洪水注意報が発令された)のため、内の倉川が増水したため、又八沢へのアプローチを断念せざるを得なくなり、北俣沢左俣から入り滝沢上流部を辿って、二王子岳経由で二王子神社に下山した。

今回は初日が雨、二日目夜から三日目朝にかけても雨で、増水していたためかもしれないが、内の倉川本流は、水が茶色く濁り気味で、沢床も茶色く変色しており、薄汚れた暗い沢という印象を受けた。

今回アプローチに折り畳み自転車を導入した

余談となるが、西ノ峰への登リ口まで折り畳み自転車を使ってアプローチしたが、今回は時間切れでデポしてきた。次回この流域に来るときに、乗って帰ることになるだろう。

18日

通い慣れた赤谷林道のゲート前の駐車場から、折り畳み自転車に乗って西ノ峰への登り口を目指す。安物の自転車なので、サドルが後傾気味で、重い荷物を背負うと一層乗りづらいが、歩くよりはかなり速い。帰りは降りが多くなるので、一層楽をすることができそうだ。徒歩と比べると、だいたい半分くらいの時間で登リ口に着いた。

点検路登リ口付近

ここから、急で長い登りが始まる。ちょうど登り始める頃に雨が降り出す。踏跡ははっきりしているが、去年から一層ボサが伸びてきた感じがする。雨に濡れたボサを掻き分けて進むうちに、全身ずぶ濡れになる。西ノ峰からは、地形図に破線のある尾根を辿るが、道があった痕跡すら失われている。

西ノ峰から地形図に道記号のある尾根を辿る

尾根と小ピークが複雑に交錯する地形を、地形図とコンパスを頼りに、変な方角に下降しないよう、慎重に藪を掻き分けながら進む。時折藪の隙間から見える景色と、自分が辿ってきた地形だけが頼りである。悪いことに、途中でガスがかかって景色が見えなくなるが、何とか皆口沢と思われる窪に辿り着いた。

皆口沢の窪に辿り着いた

窪の最上部と、窪に降りてからやや降った所に雪が残るが、それ以降は時折小滝が懸る程度で、さしたる悪場はない。いずれの滝も、簡単にクライムダウンできるか、小さく巻くことができる。遡行するには物足りないが、エスケープルートとしては良さそうな沢だ。

皆口沢中流域(振り返って見上げた光景)
皆口沢中流域(下降目線で)

しとしと降り続く雨と、沢の単調さにうんざりしてくる頃、ようやく出合に着いた。3M、ナメ滝を続けて懸けて、ゴルジュを流れる本流に注いでいる。3M滝上から見た本流は、角度のせいか、水量が少なく見え、皆口沢と(1:1)であるかのようにすら見えた。(当然実際の水量はそれよりはるかに多いのだが。)

「く」の字を描くナメ滝
滝の先に見える内の倉川の本流

本流に降りても、増水が心配なので、皆口沢を左岸(本流から見ても左岸)にあがって、ブナ林の中で一人横になれる場所を見つくろってテントを張った。
雨は21:00頃止み、翌日入り滝沢出合まで辿り着ける見込みが出てきた。

19日

入り滝沢の下流部は等高線が詰まっていて、遡行に時間がかかるかもしれないので、早めに幕場を出る。ブナ林を下降して、対岸の枝沢の出合よりさらに下流の河原に降り立った。

内の倉川本流の河原に降り立つ

左岸は林へ続く斜面となっているが、対岸は岩壁で、左岸も少し進むとすぐに岩壁になる。4×6の滝を左から降ると、谷は左に曲がり、左岸から滝を懸けて枝沢が入る。釜を持った小滝は胸まで浸かる。緩いクランク状に左・右へと谷が折れると、入り滝沢の出合の滝が見えてくる。出合の滝は12Mくらいで、本流もつるつるの壁に6Mの滝を懸けて豪快に薄茶色い水を吹き落している。滝下はかなり水深がありそうで、両岸とも絶壁である。

入り滝沢出合に懸る本流の滝から下流の渓相
出合に懸る入り滝沢の12M滝

空身で出合の滝の右壁に取り付けないこともなさそうに見えるが、かなりリスクが高い。少し戻って、右岸から細い支流が入っているところから、壁の上の外傾草付バンドに乗って、入り滝沢出合の滝上に向かってトラバースする。

出合の滝の上に懸る釜を持った5M滝の上に降りると、CSを二つ縦に並べた4M滝、3段のゴーロの落ち込みが続く。縦長の釜の7M滝は、簡単に右岸のブッシュ帯に取り付いて巻く。正面に高くそびえる岩壁が現れ、その下で流れは右へ曲がり、スラブの連瀑を懸けている。

出合の滝を巻いて入り滝沢に入渓

7M、4Mとまとめて左岸を巻き、続く6Mは右側のスラブを登る。2M滝が2本続き、中段がハングして、左から張り出したリッジ状の壁に水流を落としている10M滝は、右岸を巻く。

7M滝から4M-6Mと続く一連のスラブの滝場が続く
中段がハングした10M滝

息をつく間もなく35Mの大滝が現れる。下部がハングしており、ハングの上は大きな段差があるスラブ状である。左岸の浅いルンゼを30Mくらい登ってブッシュ帯に取り付くが、垂直に近い木登りが続いて、高巻きも容易ではない。

35Mの大滝

上に続く小滝、7M「く」の字滝もまとめて巻くと、小ゴルジュとなり、谷幅いっぱいの滝を懸けているのが見えたので高巻きを続け、ゴルジュ出口の8M滝の上に降りた。

一旦穏やかな渓相になるが、今度はゴーロ混じりの連瀑となり、標高50Mを稼ぐ。最上段は7M5条となっており、なかなか美しい。左側に大岩を配した滝がいくつか続くと、再びゴーロ混じりの連瀑35Mとなる。15M3段、2Mを越えると、大岩の左を巻くように5M滝が懸るが、大岩の右から回り込んで5M滝上に出る。

ゴーロ混じりの連瀑
連瀑の最後に懸る滝
再びゴーロ混じりの連瀑

左に細い枝沢を分けた後、2Mから4Mくらいの滝が断続し、左に岩壁が立ってきて、正面に低い尾根が見えてくると、左側に30Mの大滝が姿を見せる。水流は上から一気に落ちているが、滝身は2段で、上下ともに下部がハングしている。手前の3M、4M2条から続けて左岸を回り込むように高巻く。ブッシュ帯の取り付きは少し苦労するが、トラバースはさほど問題ない。

30Mの大滝

大滝を過ぎると、平均斜度はだいぶ落ちてきて、緩い流れが多くなる。右手に散在するスノーブロックを見ると、左に折れるように5M2条が懸り、その上の5M樋状とともに右岸を巻く。5Mスラブ滝は左を登り、小滝を越えると、小ゴルジュの奥に25M2段2条が懸る。右側のバンドからブッシュ帯に入って、流れを足下に見ながら高巻く。この後、3M、2Mと越えると、滝はなくなり、(1:2)で左に枝沢を分けた後、北俣沢への乗越へ詰め上がる小沢の出合に出た。

大滝上の緩い流れ
5M2条の滝
25M2段2条の斜瀑
まだ記憶に新しい枝沢出合付近

今年は小沢に雪渓はなくなっており、二俣に懸る2Mの滝を越えるだけだった。コルからはブッシュが禿げたラインから下降して、左手に見えてくる窪に降りる。

左から枝沢を併せると、すぐに滝が懸っていて、右岸から小さく巻く。右にスノーブロックを見て、水流が緩いクランク状に折れて、小ゴルジュに入ると、見覚えのある釜を持った連瀑が出てきた。去年の記憶通りに右岸を巻いて、連瀑のさらに下にある10M滝の下に、去年の捨て縄を使って懸垂下降した。

三つのまとまった小滝を降り、左岸から流れ込む枝沢の18M滝を横目にしながらゴーロを降っていくと、二つ続く大きな滝に行き当たる。滝上からは下段の滝の落口の釜が5M程下方に見え、その先の景色はかなり遠い。ここも前年同様に右岸を巻いて降りる。昨年より一本余計にルンゼを越えたところから下降したため、新たに捨て縄を残置してしまった。

単調な下降を続け、4Mの滝を左から降ると、8M直瀑とその下にも同規模の滝が懸る。滝頭左側のテラス状からブッシュ帯に取り付くと、二俣に降りる尾根に乗るので、そのまま尾根を下降して二俣に降りた。

二俣から下流の渓相

ここから先を通過するのは初めてになるが、等高線は緩く、さしたる悪場はなさそうである。しばらく河原を歩くと、谷は左へ右へと曲がり、ちょっとした箱が出てきたり、小滝が出てくるが、容易に通過できる。基部でヒョングッている6Mナメ滝を左から下降すると、間もなく出合に出た。

平坦な流れが続く
基部がヒョングッたナメ滝

本流は出合のすぐ上手が大プールになっており、大きく巻くか泳ぐかの選択を強いられ、遡行意欲を削がれる。下流を見ると分厚い雪渓が、流れ込む水を暗黒の口で飲み込んでいるようだ。結局、ここで行動を打ち切って、北俣沢にちょっと入ったところにある、左岸のブナ林の台地で幕を張った。

出合上流側の大淵
入り滝沢か見て左岸にある出合の台地は幕場適地

金曜発表の天気予報によれば、月曜には天気が回復するはずだったが、20時頃から雨が降り始めた。ラジオの天気予報によると、新潟には大雨洪水注意報が発令されていたようだ。早く止んでくれることを期待したが、期待空しく、雨は翌朝5時頃まで強く降り、台地の下方から聞こえてくる沢音は濁流を予想させるものに変わっていた。

20日

5時過ぎに強い降りはおさまったが、沢は依然として増水している。出発を遅らせて様子を見ていると、北俣沢の方は遡行に支障ない程度になってきたが、本流は濁流がおさまらず、とても遡行できたものではない。停滞してでも又八沢を遡行したい気持ちもあったが、翌日無断欠勤するわけにもいかず、北俣沢左俣から入り滝沢上流部を繋いで、二王子岳経由でエスケープすることにした。

本流の淵の流れ込み 濁り、水量とも前日の比ではない

8時半くらいまで出発を遅らせただけのことはあって、北俣沢の遡行には何ら問題ない。ただ、6Mナメ滝基部のヒョングリが大きくなっているのが目についた。約25分で二俣に着く。

出合からすぐのところに懸る最初の滝は、下から見上げると10M2段で、結構しっかりしたホールドが得られそなことが分かる。二度の下降では巻いていたが、今回は左壁を登る。手ごろな間隔にガバがあって登りやすい。その次の8M滝はつるつるで、下降と同様に左岸を巻いた。

10m2段の滝 しっかりしたホールドがあって簡単に登れた

しばらく下降ルート通り進むが、釜を持った小滝から10M滝までのゴルジュは、懸垂下降した斜面がかなり急な草付なので、下降とは反対の左岸のブッシュ帯に取り付いた。上から見下ろしたときは、かなり大きく巻かなければならないように見えたが、傾斜があまりない好適な高巻きルートだった。上から見下ろすのと、下から見上げるのとでは、違うものである。高巻き後は平凡になり、早々にブッシュ帯に取付いてコルに出た。

入り滝沢上流部は、小滝と8M多段のナメ滝がある程度で、難しい所はない。結構ボサや倒木が煩いところがあるが、最後は二本木山南東の小ピーク直下の草原に出て、そこから10分位藪を漕ぐと平坦なピークに出た。出たといっても歪曲した木々が幹を横に広げ、視界はゼロに近い。

二本木山へ続く尾根を、北東寄りに進路を取って、作四郎沢源頭の雪田をトラバースして藪を迂回すると、20分程度で二本木山山頂に着いた。

尾根上はできるだけ藪を避けて雪田を歩く

二本木山からの登山道も綺麗に刈られた状態で、昨年のような苦労はなかった。一王子小屋を過ぎた辺りで、タクシーを呼んで、16時過ぎに二王子神社に下山する。

狩り払いされた二本木山の登山道

靴を洗い、荷物をまとめなおしたところで、ちょうどタクシーが到着する。ベストタイミング、時間の読みは冴えている。加治川治水ダムまで7千円強。お金の使い方は大名山行だが、リッチな気分は皆無だ。自転車を回収する時間を惜しみ、今回はデポして帰ることにした。

先週同様に、月岡温泉で汗を流した後、わくわくファームのぶどう畑で夕食を摂って、帰路に着いた。

 

遡行図:皆口沢入り滝沢北俣沢左俣


山行最終日:2015年7月20日
メンバー:長島
山域: 飯豊連峰 加治川
山行形態: 沢登り
コースタイム:
18日:加治川治水ダム(7:15)-赤津山登リ口(8:00)-西ノ峰(11:05)-皆口沢源頭(13:00)-出合(15:40)-ブナ林幕場(16:00)
19日:幕場(5:50)-入り滝沢出合(6:40)-500M付近35M滝基部(8:05)-600M付近(9:40)-920M左岸支流出合(12:05)-955Mコル(12:35)-二俣(15:15)-出合(16:00)-ブナ林台地幕場(16:15)
20日:幕場(8:25)-二俣(8:50)-955Mコル(11:05)-920M左岸支流出合(11:15)-1080M二又(12:00)-二本木山(14:25)-二王子神社(16:25)=<タクシー>=加治川治水ダム(17:10)
地形図:二王子岳・蒜場山・(東赤谷)
報告者:長島

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