今週も、先週に引き続き、蒜場山を源頭とする沢に登る。過去の記録によると、ゴルジュが続く沢ということなので、パーティを組める機会に入渓したいと思っていたが、井谷さんが参加するということなので、この週に蟹沢に入ることにした。
前夜、荻窪駅から新発田へ向かうが、湯沢の先で事故による通行止のため、湯沢ICで高速から降りる羽目になってしまった。早出していたので、そのまま新発田まで一般道を走って、西新発田駅近くの公園の駐車場で夜を明かした。
30日:
心配していた天気予報も、土曜の明け方以降は曇り、日曜も夕方まで曇りとなっており、嬉しい誤算となった。
いつものように、加治川治水ダムの林道ゲート前の駐車場に車を停めて、沢支度をする。林道を歩き、蟹沢対岸付近の開けたルンゼの右岸の樹林帯を下降して、加治川の畔に降り立つ。30M程上流の浅場を徒渉すると、水位は膝下くらいだった。駐車場脇の小沢の水量もそうだが、週を追うごとに水量が減ってきている。
蟹沢は釜を持った落込みを懸けて、加治川に出合っている。倒木を伝って3M滝を登ると、林道からもよく見えていた12Mの直瀑が懸る。左岸の樹林帯から巻く。樹林帯にはちょっと古い鉈目がある。すぐに沢身に戻ると、少し落ち着いた雰囲気の中に小滝が続く。
これを過ぎると10MのCSを持った直瀑が懸っており、登れそうもないので、再び左岸を巻く。
続く2条の斜瀑の上に降り立つが、すぐに2段になっていて下部がハングしている8M滝が出てきて、下降地点に戻って、高巻きを続ける。
何度か足下を覗き込むが、その都度登れそうもない滝が見えて、長い高巻きとなる。狭隘な両壁の間を落ちる3段の滝が見えてくるころには、植生が薄くなってきたので、高度を上げて、灌木と樹林が混じった急な斜面をトラバースすることになった。林道からは、高巻きすら難しそうに見えていた辺りだが、遠目に見た以上に木があって助かった。
3段の滝の上に降り立つが、その先もゴルジュが続いている。下部が抉れた2M滝をショルダーで越え、5M滝を左から小さく巻くと、ゴルジュは左へ右へと曲がり、幅2Mくらいの廊下を通過する。
2Mから4Mくらいの滝を5つほど、直登したり巻いたりしていくと、500M付近で少し開けて河原が出てくる。この先、再びゴルジュとなるが、幾分両岸の傾斜が緩む感がある。
6M2条の斜瀑、5Mの釜を持った滝を越えると、釜と落ち込みが続き、2M樋状を登ったところで開けて、その先に18M3段の滝が懸る。左岸を巻いて、短い河原を挟んで続いている10M2段の滝上に降りる。
釜が続き、瀞の側壁際を泳いで、側壁に這い上がって小滝を越えると、6M3段、釜を挟んで4M、10Mと滝が続く。10Mは右壁を空身で登るが、上部に手がかりが少なくて少し苦労した。登ってしまえば、しっかりしたテラスがあって、そこから荷揚げと後続の確保をする。そこから4つほど2Mから6Mくらいの滝を越えると、ゴルジュを脱した感が出てくる。
その先に懸る滝は、順層で素直な滝が多くなってくる。幾分間隔を開けて出てくる滝を7つ越えると、里の沢のように穏やかな光景が広がる。
710M付近である。泊まれそうな河原も散見されるが、予定はもう少し先なので、それらを脇目に先を行く。
穏やかな渓相が続くかと思ったが、そうはいかないものである。しかし、ここから出てくる滝は、優美な姿のものが多く、先ほどのゴルジュとは違う沢を登っているかのようだ。
釜を持った4M滝のあと、逆くの字の15×25のナメ滝は、歩いて登る。8M滝を過ぎ、3Mくらいの滝を3つ越えると、右上がりの節理に15M簾状の苔むした滝が懸る。
滑りが強い左壁に、慎重に取り付くと、中盤からは滑りもなくなって、快適に登れる。
続く12M2条の斜瀑も、落口のバックに緑が映えて美しい。
3M程の滝を登ると、ナメとなり左から枝沢が入っている。両岸の傾斜も緩くさらに開けた感じがしてくると、右岸にテントひと張分の砂地を見つけて、幕場とした。ちょうど地形図の標高822M地点である。砂地を真っ平に整地すると、快適そのものである。薪も豊富にあり、盛大な焚き火にあたって、一日の疲れを癒した。
31日:
幕場を後にして、少し河原を歩くと、小ゴルジュの中に2M滝が懸る。ここを抜けた後、再びゴルジュとなり、しばらくは落ち込みがある程度だが、10M滝が連続して出てくる。水量もだいぶ少なくなってきているので、この先は可愛い小滝がある程度か・・・と思ったら、さにあらず。まだまだ、昨日の勢いは続いているようだ。最初の10Mは右側のガバが多い凹角を登り、二つ目は少し手前から灌木を頼りに右斜面に取り付いて、小さく巻いた。
865M付近で、(2:1)の水量比で右に枝沢を分け、さらに左にも枝沢を分けると、険悪なゴルジュとなり、奥に6Mの悪相の滝が懸る。少し手前の右手に、急峻なルンゼを見つけ、そこからブッシュ帯に取り付く。ループになったブッシュの根を支点に、懸垂で降りていくと、足下に滝が見えてきたので、一旦登り返して、同じ支点から上流に向かって、斜めに下降して、先ほどの滝の落口に立った。
三つ続く2Mから4Mの滝を左から巻き、複数の石が挟まりあった5M滝から始まる中小の連続する滝を越えていくと、1025M付近で湧水帯となる。水を汲んで、先へ行くと、湧水帯の上で完全に水が枯れていた。しかし、沢形は続いており、枯棚の下の抉れた釜の形状まではっきりと見受けられる。
2Mから8Mの枯棚を12個越えると、悪相の6Mの枯棚が懸る。登るとすれば左壁だが、かなり悪い。右手は草付で、2本のルンゼがあり、草付の上部は岩壁となっている。ここは、下流よりのルンゼを登り、空身で岩壁際で草付をトラバースして、上流側のルンゼに取り付き、上部のブッシュを掴んだ。ここで、荷揚げをして、揚げたザックを滝上の河原に滑り落とす。井谷さんのザックが水たまりにホールインワンしてしまい、後の小悲劇を生んでしまった。
この後も、たかだか5Mくらいまでだが、なかなか苦労する枯棚が続く。9本の枯棚を越えたところで、沢形が二手に分かれて、正面に稜線が浮かび上がる。
左に進路を取って、ボサを掻き分けながら登っていくと、ほとんど藪漕ぎなしに、稜線直下に達する。蒜場山山頂は30M程左手に見えており、稜線の藪を漕ぐこと約5分で、開けた山頂に出た。薄く霞がかかるものの、振り返ると主稜線が見え、右へと目を移すと会津盆地から日本海まで、周囲を一望できた。
先週と同じ道を辿って、加治川治水ダムへ向かう。途中、岩岳の東側の水場入口の広場で休憩がてら、水場を偵察に行った。水は採れるものの、滲みだした水が集まった沢水で、あまり良い水場ではないようだ。広場から岩岳へ、少し長い登りがあるが、あとは降るだけだ。先週同様、正味2時間の歩行時間で加治川治水ダムの駐車場に戻った。
30日:加治川治水ダム(7:15)-蟹沢出合(7:55)-420M付近(9:50)-580M付近(12:05/12:30)-640M付近(13:40)-710M付近(14:15)-822M付近(15:25)
31日:822M付近(6:25)-1025M付近湧水帯(8:40)-蒜場山(11:00/11:20)-岩岳の水場(12:20/12:40)-加治川治水ダム(13:40)