三連休を利用して内の倉川本流を遡行する予定だったが、前日から悪天候が続いていたため、支流の入り滝沢と北俣沢を繋げるルートに変更した。19日も不安定な天気が続いたため、さらに出発を遅らせて、入り滝沢・北俣沢それぞれの下流部の往復を省略することになってしまい、残念だった。
19日:
前夜、時間調整しながら高速道を走り、日が変わってから新発田ICを降りて、ねむの木広場で仮眠をとる。天気予報通り不安定な天気だったため、出発を後らせて、午前中は温泉に入ったりしながら、様子を見る。
二王子小屋で翌日の天気を窺うことにして、午後になってから、二王子神社へ向かう。駐車場には登山者の車は一台もなかった。よく整備された登山道を登って、二王子小屋に入った。雨に降られることもなく、夕方は主稜線の山並みを一望でき、夜は満天の星空となった。
20日:
夜明け前に雨の音で目が覚めるが、明るくなるとともに雨があがったので、早々に天気が悪化したら、小屋に戻るつもりで、ひとまず入り滝沢を下降することにした。
二本木山までは登山道を辿る。途中までは刈りばらいが済んでいたが、その先はボサについた水滴でずぶ濡れになる。二本木山の先は、それ程密ではないが藪漕ぎが続く。小ピークからやや南へ下った辺りから、入り滝沢源頭の雪渓に降りた。
隣の雪渓上には猿の群れが屯している。雪渓直下から水が流れており、少しブッシュが被っているものの、早速沢下降となる。さすがに雪解け水を多く含むので、水が冷たい。岩盤の窪の流れの中に、いくつかの小滝が架かるが、ブッシュも使えるので、快調に下降する。
1230Mでナメ状の連瀑を左から巻くと、小さなスノーブリッジを潜る。小ゴルジュを塞ぐような大岩の右をすり抜けると、1100Mで(1:1)の水量比で右沢と合流する。
少し河原が続いた後、ナメの連瀑と5Mの滝をそれぞれ左岸を巻いて降りると、再び河原が続く。間もなく、左俣を(1:1)で併せると、すぐに910M枝沢出合に着き、ここで小休止。
枝沢に入ると、小規模ながらゴルジュの様相を呈しており、雪渓が残る。上を歩いて、上流側の薄くなっている所を蹴り崩して、沢床に降りた。小さな二又で、双方小滝を懸けている。右の小滝を登ると、早々に水が枯れて、わずかに登ると北俣沢左俣左沢へ乗越すコルに出た。
泥壁状の斜面を降っていくと、次第に窪が明瞭になり、水流が出てくる。
左から二本の流れを併せ、4Mの滝をクライムダウンする。
ゴルジュの様相を呈してきたかと思うと、滝が続き、ゴルジュは右へカーブして先が見えなくなっている。滝場の右岸を巻いて、下流の枝沢に懸垂で降りた。
出合から本流の上流を見ると、10Mの滝が懸っていた。
河原歩きが続き、770M二又で、20Mの滝を懸ける右沢を臨む場所で、昼食を摂った。
河原歩きの後、沢が右に曲がる辺りで、8M、18Mの滝が続く。ここも右岸を巻いて、ルンゼ手前の小尾根を懸垂で降りて、沢床に戻った。すぐ先で、640M右岸枝沢が(3:1)で合流していた。
この先、ナメ滝、4M滝をクライムダウンすると、6M、10M2段の二つの滝が続き、これらの滝の左岸を巻くと、すぐに二俣となり、一層太くなった流れが、ゆったりと左へカーブして視界から消えている。最後の滝を巻いている頃から降り始めた雨が、一層強くなってきたため、内の倉川本流までの往復を見合わせていると、見る見るうちに濁流と化して増水してきた。これを見て、下流部往復を断念し、二俣の中間尾根の傾斜が緩んだ辺りにビバークポイントを探すことにした。
しばらくブッシュを掻き分けて、尾根を登っていくと、次第にブナ林が広がり、下草が少なくなってくる。地形図で傾斜が緩んでいる700M付近で、何とか横になって寝れそうなくらいの、緩傾斜の一角を見つけて、タープを張った。雨は小降りになり、タープの下で寛いでいるうちに、晴れ間が見えてきた。ラジオの天気予報では、しばらくの間、周辺の地域で大雨洪水警報が発令されていることを伝えていたが、間もなく県内全域で、警報解除の知らせが流れた。
21日:
幕場から右俣側の斜面を下降して、途中から水が流れていないルンゼに入り、最後は懸垂で沢床に降りた。下流方面には、昨日出合から見た、沢を塞ぐスノーブロックが、上流側にも谷間いっぱいに散乱するスノーブロックが見えている。濁流と化していた流れは、すっかり本来の透明度を取り戻している。
上流のスノーブロックは正面の浅く急峻な枝沢を塞ぐように散乱しており、流れは左に折れて15Mの滝を懸けている。
右壁が登れなくもなさそうだが、正面枝沢を少し登ったところから高巻くことにする。巻いている途中から、先にも登れなそうな滝が続くので、まとめて巻いて、ヒョングリのナメのある辺りに降りた。
ナメの廊下が10M程続き、2M滝を越えると、三俣の雪渓が架かり、雪渓の下で左岸から枝沢が入っていた。一旦、沢床に降りて、本流の3M滝を登って、先のゴルジュを覗いたが、雪渓上から見えていた、5~7Mくらいの二つの滝は登れそうもないため、右岸の小沢を少し登ったところから、高巻きに入る。
ここも、さらに先の10M滝が登れそうもないので、高巻きを続け、さらに先の5M滝の落口に続く、ブッシュ続きの比較的なだらかな尾根を下降して沢床に戻った。
沢が左右に曲がると、やや開けたところを覆うように雪渓が残っている。標高700Mあたりなので、わらじの記録にあった幕場かも知れない。雪渓の切れ目がちょうど滝の基部になっていて、一段登ったところで、陽を浴びながら小休止する。
この滝は15M4段の「く」の字形の滝で、上部にも滝が続き、落差30Mに亘る連瀑帯を成している。下部の滝は、水流の右を行ったり、左を行ったり、跨いで突っ張ったりしながら、楽しく登れる。
連瀑の後、4Mの滝を二つ越えると、登れない10Mの滝が懸り、滝のすぐ手前で右壁を空身で登ってブッシュ帯に取り付いて、高巻く。先に続く15M、8Mをはじめ幾つかの滝をまとめて巻いたが、この時に二又を過ぎてしまい、そのまま右又を遡行した。予定は藪漕ぎの少ない左又だったが、記録がない方を遡行できたので良しとしよう。
沢床に戻ると、渓相が穏やかになってきたように感じる。右手に草付斜面が広がる8M滝の手前で、昼の休憩を取った。8M滝は、右手の草付をアイスハンマーを突き刺して登り、上部に茂っているブッシュを掴む。
5Mクラスの滝がいくつか続くが、いずれも直登できる。900Mで流れは二分して、左沢は4M滝が二つ続き、中間尾根からこれらを巻く。
次の10Mと6Mの滝も、右の枝沢から巻き、幾つかの小さな滝を越えると、15M3段の滝となり、左岸から巻く。この後も小滝が続き、最後は水溜まりが残る岩盤の窪となって、稜線の藪の中へと導かれる。
藪は密ではないが、山田さんがだいぶ疲れてきたと見えてペースが上がらない。2時間近くかかって入り滝沢に下降した小ピークに着く。その先、尾根の北東側を見ると、作四郎沢源頭の雪渓が続いていたので、雪渓に降りて藪を迂回する。だいぶ距離が稼げたおかげで、小ピークから二本木山はあっという間に着いた。往路もここを通ればよかった。二本木山からは、往路と同じ登山道を歩く。井谷さんは、虫に着かれたためにデポしたシュラフを回収しに、小屋に立ち寄ったが、なくなっていたそうだ。途中、三王子神社の先の水場で休んで、二王子神社に下山した。
あやめの湯で汗を流し、黒崎PAに立ち寄るも食堂は閉店後で、空腹に耐えながら運転を続けて、越後川口SAでようやく夕食にありついた。堀尾さんの運転で、メンバーを自宅付近まで送り、最後に帰宅したのは4時近くだった。後始末をすると、いつもの起床時刻になり、横になることなく、普段の生活に戻った。
19日:二王子神社(12:50)-二王子小屋(16:00)
20日:二王子小屋(7:00)-尾根屈曲点小ピーク(8:20)-910M左岸枝沢出合(10:30)-コル(10:55)-770M二又(12:00)-二俣(13:50)-尾根上700M(15:30)
21日:尾根上700M(6:10)-620M出合(7:40)-850M付近(12:00)-尾根1212M付近(15:00)-二本木山(17:10)-二王子岳分岐(17:35)-二王子神社(19:15)