玉川 大又沢本社ノ沢(左俣)

先月日程の都合で遡行を断念した本社ノ沢を訪れた。アプローチは大岩沢と同様に大日杉から地蔵岳へ登って大又沢右岸の枝沢を下降した。従って、今回の山行では山スキーのメジャールートを遡行したことになる。

 

10月15日:(曇)

先月大岩沢を訪れた時と同様に大日杉の駐車場に車を停めて地蔵岳へ向かう。この日は前線の通過に伴って寒気が流れ込んで今シーズン一番の冷え込みになるという予報なので、冬用のシュラフを装備に加えた。その代わりテントではなくツェルト、70Mロープではなく30Mロープに代えて軽量化を図った。

地蔵岳直下の湿地から大又沢1150M地点へ向かって流下する枝沢を下降する際に、何種類かのキノコが出ていたがキクラゲとナラタケを夕食用に採取した。

9月よりいっそう水量が減った本流を下降して本社ノ沢出合に至る。出合の滝の上で本社ノ沢に入る。

本流上流から本社ノ沢出合

 

出合の滝の上はゴーロとなって右へカーブしていく。地形図に記された等高線の間隔から、しばらくゴーロが続くかと思っていたが間もなく奥行きのある淵を擁する10M滝に出くわす。よく見ると左壁からもう少し落差が少ない滝が落ちている。右岸を小さく巻いて一旦左壁から落ちる滝の上に出て、この滝に続く2M滝が滝壺に直下する10M滝と並んでいるのを見届けてから2M滝も右岸を巻いて落口に立った。さらに深い淵の奥に左壁に半分隠れるような8M滝が続き、この滝も右岸から巻いた。

出合の滝の落口から本社ノ沢
10M滝 左壁には6M滝が懸る
8M滝

 

再びゴーロとなった後に谷が右に折れると右側に椀を伏せたような傾斜のスラブ壁が目に入る。スラブ壁のあたりは淵になっており、一見して泳がなければならないかと思ったが、傾斜が緩い左壁に点在するスタンスを拾って淵を越えることができた。その後は地形図から想像する通りにしばらくゴーロが続く。

スラブ壁基部の淵

 

一旦幅5Mくらいのゴルジュになって、5Mの滝が二本懸っていたが問題なく越えて、巨岩のゴーロでゴルジュを抜けた。

ゴルジュ終盤の巨岩ゴーロ

 

ゴルジュを抜けた後は河原が点在する穏やかな渓相になる。この辺がこの沢で泊り場を求めるならベストな区間だった。しかし地形図を見る限りは二俣直前まで傾斜が緩いので、計画通り先へ進む。

縦長の箱状の淵の5M滝を左側のバンドから簡単に越えると、大きな石が谷底を埋めるようになってきて幕場適地があるような気配が失せる。三俣に分かれた4M滝の手前に広がる広い河原も大きな石で埋め尽くされている。4M滝を越えても流れは穏やかだが適当な河原が見当たらない。

大石の河原が広がる4M滝の下

 

さらに遡行を続けると左岸に滝を懸けて流れ込む枝沢が見えてくる。左岸にもう一本のよく似た枝沢を過ぎると、水流を二分した8Mの斜瀑が懸っており、飛沫を浴びるのを嫌って左壁のバンドを繋いで巻き気味に越える。この頃から両岸の上方は霧のような雲に隠れて見えなくなり、肌寒さが増してきた。

左岸から滝を懸けて流入する枝沢
二俣に分かれた8M滝

 

斜瀑とも言えなくない樋状の流れをスリップに警戒して慎重に過ぎると、落口から飛沫を散らしているように見える18M2段の滝が目に入る。この滝は地蔵岳山頂から本山方面を眺めると、はっきりと認められる。右岸をブッシュ帯まで登って大きめに巻いて落口に降りてくると、ちょうど小さな河原となっている。

地蔵岳山頂からよく見える18M2段の滝
18M2段の落口は二俣 右岸には小さな河原

 

この川原はちょうど二俣に位置しており、対岸には少し先に連瀑を連ねる右俣が流れ込んでいる。水量は幾分左俣の方が多いようだ。時間をかけてこの河原の一角を整地してなんとか暗くなる前に幕場を得ることができた。

幕場 写真左端は滝の落口

 

寒さを逃れるためさっさとツェルトに逃げ込み、食事をしたりしてしばらくツェルトの中で過ごしていると、いつのまにか空は晴れ渡って満天の星空となっていた。

 

10月16日:(曇ときどき晴)

放射冷却によって気温は下がり、ツェルトの内壁についた水蒸気は氷と化し、外に置いた靴には霜が降り、水筒の内側にもうっすらと氷の膜ができていた。

気温が上がってくるまで出発を後らせたいところだが、下山のことを考えると遅らせるにも限りがある。8時になってから幕場を撤収して、その後右俣の滝を偵察した後に左俣の遡行を開始した。

ゴーロに懸る4M滝を過ぎ、幕場からよく見えていた8M二条の滝を右側から巻き気味に越える。流れが左に折れると4M滝が現れ、これも右から越えるとゴルジュの連瀑帯が始まる。

幕場からの左俣の光景
幕場からの右俣の光景

 

ゴルジュには「ハ」の字状に末広がりになった壁に懸るCS滝もあり、一見して谷通しの遡行は困難なので左岸を巻いていくと、1470Mで出合う枝沢に降り立った。出合は滝になっており、左俣本流には出合の先に二本の6M滝を連ねている。

ゴルジュに懸る連瀑

 

二本の6M滝も直登は難しそうで、小さく巻くにも両岸とも険しいので、右岸を巻いて滝上に出ることにする。出合付近は取付きが悪いので、少し枝沢を遡行してから中間尾根を本流に乗越して滝上に立った。

1470M枝沢から見た左俣の連瀑

 

傾斜のあるゴーロの後6つの滝が続く連瀑となり、最初の二本を直登した後は左岸を小さく巻くように越える。さらに三つの滝を越えると、(1:1)の一見すると二俣のような分岐になるが、右側の流れは地形図でも読み取れない上に実際すぐに山肌に消えているので、近くで湧き出ている湧水だろう。

開放的な渓相の連瀑帯

 

分岐を過ぎると両岸が岩壁となって谷に迫ってくる。このゴルジュはすぐに抜けると思ったが意外に長く続いており、CS滝を含む三つの滝を越えたところでようやく抜けた。

上流部のゴルジュ

 

ゴルジュを抜けると源頭の雰囲気のゴーロとなり、右又に滝を懸けた三又となる。本流は滝を懸けた右又で、中又を進んだ後中間尾根を乗越して滝上に出た。

二本の5M滝を越えた後、今度は左又に滝を懸けた二又となる。標高1800M辺りだろう。水量比は(1:1)だが右又は尾根直下に広がるカール状の地形に消えている。左側の流れを辿っていくと水流が消え、さらに沢型も草原に消える。草原となった斜面を詰めていくと、尾根に上がりやすそうなバンド状のハゲ地が見えてくる。ハゲ地目指してトラバース気味に登っていくとそこは一ノ王子の水場で、バンド状に見えていたハゲ地はテント場から水場に降りてくる道だった。

5M2段の滝
草原の斜面に消える沢と岩峰群
遡行してきた沢を振り返る
一ノ王子の水場

 

水場で昼食を摂った後、途中地蔵岳に立ち寄って山頂から本社ノ沢を一望して、大日杉に下山した。

 

 

遡行図


山行最終日:2020年10月16日
メンバー:長島
山域: 飯豊連峰 荒川
山行形態: 沢登り
コースタイム:
15日:大日杉(11:15)-地蔵岳(13:30/35)-1150右岸枝沢出合(14:50)-本社ノ沢出合(15:05)-1370M二俣(17:15)
16日:1370M二俣(8:35)-一ノ王子の水場(12:00/35)-地蔵岳(15:30/35)-大日杉(16:50)
地形図:飯豊山・岩倉
報告者:長島

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください