実川 壺安沢~オコナイ沢~ヨシワラ沢

20日(曇りのち雨)

五十嵐家住宅近くのトイレ付駐車場で支度を整え、林道ゲート手前に車を停める。ゲートから1時間ほどで壺安沢にかかる橋に着く。

右岸には踏跡が伸びており、道が沢を横切り左岸に移るところで入渓する。岩には茶色い苔がついてぬめり何回か滑って転ぶ。。

右岸から入る枝沢は滝となって落ちている。再び現れた踏跡を辿ったりしながら進んでいくと、取水堰が現れる。

600m付近の右岸枝沢は12mほどの1条の直滝となって落ちている。釜と小滝を越えると、右壁がこちらを圧迫するように立ってきてミニゴルジュのよう。釜と小滝が続いて沢は左に曲がり、2段5m滝となる。倒木沿いに右を登るが、ぬめっているので倒木がなくなる上部は緊張した。

ここを越えると沢はひらけて右岸側は草が生える台地となる。その草地の奥の斜面から枝沢が滝となって落ちているのが見えたが本流に流れ込むはっきりとした流れは確認できなかった。

740mで右岸から枝沢が入る。ここを左に入る計画だったが、二俣状ではなかったため手前の枝沢と判断して通過。本流を進むが二俣は現れず。このまま本流を詰める。

これまでの平凡な渓相とは一変、820m付近で8m、5mの滝が懸かる。手前8mは直登、奥の5mは右から巻く。右の岩壁を空身・荷揚げで登り(私は岩からはがれないよう確保してもらう)、念のためロープ確保で落ち口へ向けてトラバース。続く2m、5m滝もまとめて巻く。

その後、5m斜滝、4m滝を越えると、小滝の連瀑となり、920mの二俣を左に入る。水量は右のほうが多い。

昼食をとり、ヤブ漕ぎ少々で1235mピークと西側小ピークの間に出る。天気予報通り雨が降り出す。稜線上は紅葉したオレンジの葉に包まれ、うっすらと踏跡がある。飯盒とブルーシートが置き去りにされた幕場跡もあった。

小ピークから尾根が二つに分かれるところから水無沢へ降りていく。視界が悪く先が見通せない中で斜面を下っていくと、やがて沢型に出る。こちらの沢は果たして・・・やはりぬめりが強く、足運びに慎重になる。小滝をクライムダウンしていくが、何度かスリップする。そんな姿を見たからか、950m付近でリーダーは沢下降をやめ、尾根を下ることにする。

小沢を2本横切り、さらにトラバースしブナ入ノ平へ降りる尾根に乗る。だが結構急な尾根で、時々後ろ向きになり木を掴みながら降りていく。やがて岩が露出してきて木を掴んで慎重に降りる。こういう岩峰みたいなのは苦手だから怖い。670m付近でとうとう、結構なギャップがあって尾根を下降できなくなる。周りを見ると、尾根の左右とも急峻で不安になる。少し戻って、灌木がある急斜面を長島さんが降りていく。私も頑張って降りる。

下はスラブの斜面だ。ここから懸垂下降する。下に降りるとスラブと灌木・草混じりの斜面で、上から見た印象よりも緩やかで降りていくことができた。

やがて傾斜がゆるみ、ブナ入ノ平も近い。もう薄暗くなってきているので、すぐそばの沢に降りてちょろちょろと流れている水を汲む。ここからはヘッデンつけてテンバ探し。もう少し下り、平坦な場所を見つけてテントを張る。

しばらく降っていた雨もやみ、寝る頃には月が見える。

21日(晴れ)

広いブナ林をオコナイ沢出合方面へ歩いていくと10分ほどで緩やかなブナ林と裏川へ落ちていく斜面との境目に出る。樹々の間に裏川の流れが少し見える。

灌木を掴みながら降りていく。裏川の大きな淵とそこに落ちる滝が見えてくる。一旦登ると460m付近の平坦地に出る。そこから小尾根を降りていくと、オコナイ沢の流れがすぐ下に見えてきた。ロープを2本つないで懸垂下降する。オコナイ沢出合に懸かる滝は見ることができなかった。

降りたあたりは河原状だが、すぐに15m滝が現れる。ロープを出して灌木が生える左壁を登る。1ピッチ目は空身で、最初の2、3歩はしっかり掴めるものがあまりない。2ピッチ目はザックを背負って登る。

2mの小滝を越え、530mで右岸枝沢が流れ込むあたりで熊さんに遭遇する(大きさは青年ぐらい)。岩陰に隠れていたせいで近づくまでわからなかったのだろう。沢で水を飲んでいたらしく、黒い毛並みがはっきりわかるほどの至近距離でやばいと思ったが、びっくりして逃げてくれたのでよかった。

右岸にスラブの岩肌がのぞく斜面が続いたりするが、沢の中は至って穏やか。ゴーロを進んでいくと、8m滝が出てくる。上部は岩がつるつるだ。左から巻く。

4m、15m滝が続き、15m滝は左の灌木が生える斜面を登って巻き、懸垂で降りる。間をおいて5m滝を越えると、緩やかなゴーロとなる。

860m付近で左右から枝沢が流れ込む。ここでまた熊さんに出会う。胸に月の輪がはっきり見えた。沢を横切り左の草むらに消えていった。

意外とゴーロが長い。930mの二俣は水量が多い左に入る。ゴーロが続く。1070mでは本流は左から20m滝となって流れ落ちる。正面の小沢から灌木帯に入って20m滝の上に出る。陽が差し込み紅葉が映える。ナメ滝が続き、連瀑となっている。その中の5m滝は途中からロープを出して右側を巻き気味にトラバースする。以降は登れる滝が続く。

連瀑帯が終わったところで昼食をとる。だんだん流れが細くなり、1350m付近で水を汲む。ずしっと荷が重くなる。沢筋を辿っていくと、灌木が途切れ、風化した花崗岩の斜面が現れる。もう砂状になっている斜面をずり落ちながらなんとか登り、灌木帯に入る。オコナイ峰から南に伸びる尾根に出て、背丈ほどの笹ヤブをかき分け、1560mのやや平坦地をテンバとする。わずかに笹が少ない場所を見つけ、笹を倒してテントを張る。

どんどん気温が下がり冷えてくる。煮炊きする火が暖房代わり。ダウンの上下と夏用シュラフで寝たが、やはり少し寒かった。

22日(晴れ)

朝、起きると、外に置いておいた沢靴・靴下・スパッツがバリバリに凍っていた。特に靴下が凍っていたのには参った。生地が伸びないから足が入らない。胸元に入れて暖めてなんとか履く。

背丈ほどの笹が生い茂る尾根を下っていくと素晴らしい眺めが広がる。朝日が当たって沢筋はキラキラ輝き、遠くの峰々は雲海に覆われている。

1500mあたりから尾根筋を離れヨシワラ沢へ降りていく。小滝が出てきてクライムダウンする。4mほどの滝を降りていく時に自分のミスで滑り落ちてしまい、反省。以後、慎重になり、苔で岩がヌメっていることもあり下降スピード上がらず。

1265mで水量の多い沢型に合流し、ゴーロが続く。1100m付近で出てくる8m滝は、右岸ルンゼから巻き降りる。以降もポツポツと滝が出てくるが、いずれも問題なく降りられる。

900m、840mで左右から流れを合わせ、770m付近では釜と小滝が続く。

630mで右からオウデ沢を合わせると、取水施設と林道が見えてくる。ここで下降を終了し、林道を下りていくとさらに立派な林道に出た。林の中にちらりと見える湯ノ島小屋を通り過ぎると、木の幹にヌメリスギタケモドキを発見。喜んで採っていたら、すぐ横の木の根元でスズメバチが熱心に作業しているのに気付き凍り付く。刺激しないようそっと離れる。

ヘッデンが必要な暗くて長いトンネルを通り、きのこを探しながら車に戻る。

山行最終日:2018年10月22日
メンバー:長島(L) 高森
山域: 同行者の記録
山行形態: 沢登り
コースタイム:
地形図:大日岳
報告者:高森