飯豊川 赤渋沢

今年度の夏合宿は長島代表と飯豊へ。飯豊川本流を遡り、飯豊川支流の中で最も大変とされる赤渋沢を遡行する計画であった。ここ数年厳しい山行から遠ざかっていた感のある私としては、かなりの不安と緊張を強いられる計画である。計画が決定してからは増量した体重を絞りコンディションを整え山行に臨んだ。

 11日:加治川治水ダムに集合するも、今日・明日とも天候の回復が見込めず、飯豊川本流下流部の遡行は見送り、飯豊山荘側から山越えで飯豊川中流に降り、赤渋沢に入渓し遡行することとなった。結局この日は新発田周辺で時間をつぶし、道の駅関川で前泊した。

12日:関川から車を走らせ飯豊山荘へ。石転び沢から梅花皮小屋まで登った。12時ちょうどに小屋に着く。幸い行動中は雨に見舞われず、午後は雨が断続的に降っていた。

 13日:この日の計画は梅花皮小屋から「おういんの尾根」を中峰まで下り、中峰から孫左衛門沢を下降して飯豊川本流に降り立ち、洗濯沢出合を泊場とする予定。

本日の工程は短いので8:20遅めの出発。「おういんの尾根」は通工止めとされていて、少々荒れた印象。中峰の雨量観測所跡にて少々休憩し、孫左衛門沢を下降する。少々ヤブを下るとすぐに水流が現れる。中流から時々小滝が現れ、2カ所ほど右岸側から巻き下る。3段の滝を下ると30mの滝をかけて右俣が合流し、まもなくで飯豊川本流に降り立った。下降開始から1時間40分。

昼食後、本流遡行を開始。へつり、徒渉を交えて平野沢出合、赤谷沢出合を過ぎ50分ほどで洗濯沢に到着。ツェルトを張り、焚き火をするが雨が断続的に降っている。夕刻になると雨も止むが不安定な天候が恨めしくなる。

 14日:この日はいよいよ今回の目的である赤渋沢の遡行。早起きし6時過ぎに出発する。30分で赤渋沢出合に到着。赤渋沢は2段80mの大滝を落とし圧倒的な威圧感をもって流入している。しばし大滝の壮観に見とれる。左岸側からのル-トを確認し大滝に取り付く。80m大滝は右側のルンゼを少々上りブッシュの中に入り、ブッシュの中を滝身までトラバ-ス。ブッシュに取り付くところがグズグズの斜面で緊張する。滝身に出た後は流れの右のスラブを上段の下まで登攀。高度感がありロ-プをいただく。水流を渡って上段は左から巻く。巻いていくと大滝の上にも連爆が続いており、左からそのまま上部に巻いていくと大高巻きとなるが、奥に登れそうもない30m程の滝が控えているので、結局そのまま巻くこととする。結局1時間以上の高巻きで30m滝の上に降り立った。赤渋沢は出合の2段80mの滝のみならず・・同じように厳しい滝がずっと続くことを知る。

沢はゴルジュとなり、小粒ながらもいやらしい登攀を強いられる。CS2mは右から巻きCS4mは右壁をへつり登る。CS2.5mも右壁から越すと20mの直滝が聳える。少々休憩の後左岸側から巻くがここが核心となる。ブッシュ交じりの岩場をロ-プを出し2ピッチの登攀。途中傾斜の強い岩場をブッシュに微妙に体重をかけて登らざるをえない。非常に緊張感を強いられる。安定したところからトラバ-スしていき、懸垂下降で滝上へ。2時間かけて巻いたことになる。

その後もゴルジュ・滝が途絶えることはない。ゴルジュの中の4m・CS4mと超えていくがその後のハング滝5mで行き詰まる。すでに赤渋沢に入ってからだいぶ時間が経つが、激しい滝の連続で一向に高度が上がっていかない。その後もゴルジュ・大滝と続きそうなこともあり、少し戻って右岸側に取り付き大高巻きを開始する。巻きの途中から見る谷は大ゴルジュ。左岸側は遥かにスラブとなって聳え、ギザギザとした山稜を形成している。ゴルジュの下に雪渓があり、その先に2段80mの滝があるのを見ながら延々と巻いていく。2段80m滝の先にも滝が続くようだが確認できず。結局2時間半巻き続け懸垂下降で沢に戻る。降りたところは1230付近左岸側から枝沢の流入する地点だった。すでに時刻は15時を過ぎている。

依然、滝が途絶えることはなく3m滝を越ええ5mを右から巻き気味に越えると再びゴルジュに。4m滝2本の後に登れないCS滝が連爆となり、ゴルジュ入口まで戻り、再び右岸側を巻く。ゴルジュの先に20mの滝。いったいどれだけ滝が続くのやら・・。20m滝の上に懸垂で降りる時には17時になっていた。

ただ、その後は滝は続くものの渓相はぐっと穏やかになり、ロ-プを出すことなく小滝の連爆を登っていく。時間も時間なのでテンバとできそうな場所を探しながら登っていく。幸い1400付近の右岸側にツェルト一張りなんとか張れるスぺ-スを見つけ、整地しなんとか幕場とすることができた。酒はすでに切らしていたが、疲れもありすぐに熟睡に入った。

 15日:幕場を出発するとすぐに多段の15m滝で左壁をへつり登る。4m滝は左を登るが難しい。6:35 1470二俣を左に入る。この先は4~5m滝が続くが快適に越えていける。昨日の激しい渓相とは打って変わり安心できる流れを登っていく。2段5mはつっぱりで登り1660で2:3の分岐は右にとる。背後を見ると飯豊川対岸の山々・登ってきた下流が望まれ、非常に気持ち良い。この後は滝はなく何回か沢は分岐し水流がなくなると密なヤブに突入ししばらくのヤブ漕ぎで8:30 1850付近の登山道に出た。

下山は梅花川小屋、門内小屋を経由して梶川尾根を飯豊山荘まで下った。

今回の山行では飯豊川下流部は遡行できなかったものの、厳しい赤渋沢の遡行を体験でき、久々に濃い山行を体験できた。これからも厳しい挑戦するような山行にのぞんでいきたいとチャレンジ精神を思い起こさせてくれる山行となった。

山行最終日:2017年8月15日
メンバー:長島(L) 丸山
山域: 同行者の記録
山行形態: 沢登り
コースタイム:
地形図:飯豊山
報告者:丸山