長走川 田代沢

長島リーダ計画の飯豊長走川シリーズ綱木俣沢遡行-オウトウ沢下降に参加した。前日夜、浜町公園脇で拾って頂き、関越道を道の駅阿賀の里を目指し日付が翌日に変わった頃到着した。関東は前日から梅雨明けしたが、飯豊の天候は不安定で、星は見えず予報では明日夕方から雨、翌々日も雨予報で心配だが、軒下で寝酒を軽くやって1時過ぎに就寝する。シュラフが不要なほど暑く4時半頃に起きてしまう。近くのコンビニで朝食を済まし、入山ポイントの三川オートキャンプ場に曇り空の中を急ぐ。6時半頃に到着し、身支度を整え林道のゲートをくぐり10分ほど歩き入渓ポイントの深沢出合の河原に降り立つ。水量は長走川本流の1/10程度だが川幅は8-10m程度でリーダからは増水するとここも徒渉は厳しいだろうとの感想がでる。最初の堰堤は右側斜面を巻き越えてしばらく河原を歩くと右に赤い水が流れ出す四角い穴がある。恐らく鉱山跡ではないかと思われる。その左脇に明瞭な踏み跡があり、辿っていくとトラロープもついており続く二番目の堰堤を簡単に巻く事が出来た。しばらく河原が続き、7m滝が左から、7x9mの3段滝が右からかかる地点を通過すると両岸が切り立ってきて足の立たない淵の右側の岩を掴み前進し肩下まで水に浸かって通過する。

そこを過ぎると両岸が30~50mの岸壁の川幅6~8m程の井戸の底のような河原となる。所々岸壁から糸状の滝が流れ込むのを見ながら進んでいくと左から田代沢が1:5で流入してくる。同じような岸壁が出てくる谷底深い地形に時折岸壁から10m前後の滝が落ち込んでくるような地形がしばらく続く。両岸が迫りトイ状の流れが出てくるとへつりとなり楽しい。岩もゴロゴロと転がり少し斜度がある箇所も出てくるがここまでは総じて平坦な流れだ。1mの放射状に水を吐き出している釜を持ったデコ滝を右から通過した後は淵が出てきて右をへつる。その先は、右から20mと10mの細い流れの滝が落ち込んできて続く淵と1m程度の滝の右岸側をへつって登って通過する。そのすぐ先が3:1で岩岳沢と綱木俣沢が出合う二俣となり、9時半まで小休止をとる。ここまで入渓から約2時間半かかっていた。右の綱木俣沢に入ると一転して滝場の連続となり、釜を持った2x3m滝を右から登るとすぐに釜付き8m直瀑と出合う。最初右の斜面を小さく巻いて越えようとするが、滝の落ち口近くのトラバースが厳しく諦め、滑りやす斜面を慎重に戻り、結局右岸を小灌木まで登り巻いて通過した。

トイ状の流れの部分を通過し、2x3m滝を左からへつり気味に越えるが、落ち口への1歩のスタンスとホールドが微妙で少しもたつく。続く5mのヒョグった直瀑でリーダーが左岸の巻きを偵察に行くが、結構厳しそうな泥斜面でこれからの天候悪化と10時過ぎでこの地点であることを考慮すると綱木俣沢泊になり、翌日の天候次第では出られなくなる可能性があるため、引き返し田代沢を林道まで遡行する計画に切り替える判断となる。かなり暑く、ちょっとした高巻きでも大汗をかいてヘバッテきていたので、この判断には救われた。来た道をずんずんと引き返していき11時半に田代沢出合に到着してしばし昼休憩を取る。

4~6m程度の川幅の田代沢にかかる1m程度の小滝を越えて遡行していくと、徐々に両岸が迫ってきて右に曲がった深い釜を持った2mの木の幹で堰き止められた滝となる。右を空身で登れるとの判断でザイルを引いてリーダーがとりつく。微妙なバランスで右壁のホールドとスタンスを拾い、堰き止めた木の幹に手がかかり通過した。ザックを3つ引き上げたのち、高森さん、坂部の順でトライするが、それぞれ1回、3回ドボンしロープを張ってもらってどうにか突破した。この滝を登れるかが田代沢遡行をできるかどうかの分かれ目である。

右壁にしかホールド、スタンスともになく、足の運び方がポイントであると遡行終了後に教えてもらうが、暑くてヘバッテきていたところに3回のドボンで逆に体を冷やされた自分は大分体力を消耗した様で、それ以降の動きが鈍くなってくる。続く大岩の帽子を持った8x9m滝は草混じりの左斜面を登ることが出来た。次に出てくる巨大な岩に中央を堰き止められ左右二条に勢いよく水を落とす6m滝はどうやって登るものか見当もつかなかったが、リーダーが右の滝の右側の洞窟のような部分の上部に明かりを見つけたようでとりついていく。上でザックを降ろし明かりの漏れる穴を登り通過した。後続もザックを引き上げてもらい、同様に穴をすり抜けて通過した。

この後は、しばらく大きな滝は無く、1-2mの滝を4つほど無難にこなして遡行していくと倒木が斜めにかかった8m直瀑となる。右側からは13mの直瀑が流れ込んできているので、左側の急斜面を登ってトラバースして滝上の灌木を掴んで強引に降りるが、自分は滝上の釜の中にスリップして浸かってしまう。
その後は、小滝を一つクリアし、2mヒョグ滝の右を登り、続く3mヒョグ滝は登れないので右を小さく巻いて通過した。Co450mの二俣で小休止した後、左俣を登っていくと釜を持った2m滝が2つ出てくるが問題なく登ることができる。その後に10mの直瀑が行く手を阻むが、登れそうにないので右の泥壁にとりつく。泥壁の弱点を縫って、リーダーと高森さんは越えていくが、自分は最後の手掛かりが少ないところで足場が崩れ3mほどずり落ちる。特に怪我は無く、登りかえして越えるとそこが林道となっていた。

あまり使われている様子の無い林道を下山していくと、地形図上の山道が右側から合わさる。更にだらだらと歩いていくと左側が伐採地となっており展望が開ける。伐採地には成長したワラビがたくさん出ていたので、分け入って3人で開いていないものを探し、明日の朝食のおかず分を確保した。2時間近くの林道歩きで駐車場に到着し、新三川温泉寿の湯で汗を流し、鹿瀬の公園のレストハウスの軒下を借りて濡れたものを乾かしながら一晩明かすが、案の定夜半過ぎから雨が強まってくる。翌日も1日雨模様となり入渓を諦め、一般道を栃木の馬頭経由で蕎麦を食しゆっくり帰京した。

飯豊はちょっとした沢でも自分にはかなり手ごわく、体力、登攀力、泥壁登り等もっと鍛えないと安全について行けないことを痛感した。

山行最終日:2017年7月22日
メンバー:長島(L) 高森 坂部
山域: 同行者の記録
山行形態: 沢登り
コースタイム:
地形図:蒜場山
報告者:坂部