胎内川黒石川(遡行)~楢ノ木沢鴨沢(下降)

俺にとって、初めての飯豊連峰の沢だ。楽しみでもあり緊張もした。当日は雨が降ったり止んだりのあいにくの天気。雨で胎内川本流が増水していたら徒渉が厄介だが、幸い、川の増水はなく、ひざ下ほどの水量で、難なく徒渉できた。徒渉すると、すぐに黒石川出合だ。歩き始めは小川歩きといった感じでまったく危げない。ほどなくして、3段5mの滝が現れた。雪に磨かれ、ツルツルの岩質が目に飛び込んでくる。たいした高さじゃないのに登れるルートが極端に限定される。いきなり飯豊の洗礼を受けた感じだ。その後も3段5m、4m、2m、4m、3mと高さ的にはかわいい滝が続くのだが、いずれも手ごわく、1箇所お助け紐を出してもらうほど難しかった。

Co575の地点にテン場適地があった。これを過ぎるとテン場はない。Co600手前の地点で雪渓出てくる。今年は昨シーズンのどか雪のせいで、雪渓が多いようだ。

いままでは小さな滝ばかりだったが、8m、2段5m、30mの滝が出てきた。これらの滝は纏めて右から巻き、所要時間が80分ほどかかった。巻いている最中、古巻さんが2回ほど、上から落ちてきた。1回目は頭1個分、2回目は上半身分の落差をストンと落ちた。このときは怪我もなく、問題なかったが、急斜面で落ちたら止まらなかったかもしれないと思うと怖い。大抵、事故が起こるのは、核心部ではないものだ。高巻で落ちたら致命的なこともあるので、他人事ではない。自分も気をつけねば!!この大高巻を終えた時点で12:30。昼食を取り、高巻の疲れを癒した。しかし、飯豊の沢は俺たちを休ませてはくれない。昼食後すぐに3段12mの滝が現れた。右から巻く。残置のシュリンゲがあり、これを利用して懸垂で降りた。Co900の二俣(13:50)を左に進み、14:30に尾根に出た。

鴨沢枝沢の下降を開始。最初で出てきた5mの滝は懸垂、つづく3m滝はクライムダウン、そらに30mの滝は左から巻いた。とくに問題のある下降ではなかったのだが、高巻中、古巻さんが落ちた。突然俺の視界から消え、かなりの急斜面を5mほど滑り落ちていった。思わず、「古巻さーん!!」と叫ぶ。急いで古巻さんのところまで降りた。幸い無事のようだ。骨折はしていない。打撲と擦り傷程度で済んで本当によかった。この後の下降では古巻さんの心が折れ、腰が引けてしまっていた。無理もない。あれだけの滑落をしたのだ。俺も古巻さんが落ちるシーンが目に焼きつき、恐怖心を覚えるほどだった。こんなときでも長島さんは冷静だ。「古巻さん、斜度ないよ。ここなら普通に歩けます。」と冷静な判断
を促した。とにかく、鴨沢まで降りればテン場までもう少しだ。今はなるべく早く落着けるところまで行くべきだろう。古巻さんの頑張りもあり、18:10に鴨沢本流に出た。下降を始めてから実に3時間40分後のことだった。この時点でかなり疲労が溜まっていたのだが、今年の残雪は、想定外だった。鴨沢は雪渓で真っ白。鴨沢本流出合の少し上流部にテン場適地があるはずだったのだが、テン場は雪の下だ。地図を見ながら、下流部にテン場を求め、下降を始めた。しかし、行けども行けども、雪渓はなくならず、だんだん暗くなってきた。Co600付近でビバークすることに決定。この時点で18:50.高台になっているところがあり、そこだけ土が出ていた。整地する間もなく、タープを張り、着替え、各自で夕食を取り、シュラフに潜った。外はもう真っ暗だ。シュラフに潜っても雪渓の近くは寒く、なかなか寝れない。なぜかタープを張った所は特に冷たい風が流れてくるような気がする。朝になって、その理由が分かった。俺たちが居た場所は沢形がL字になっている下部の右端だった。上流部から流れてくる冷気が壁にぶつかり、壁沿いに冷気が流れる。ビバークした場所はちょうど冷気の通り道だったのだ。疲労しきっているところに泣きっ面に蜂だった。

翌日は7時に出発。しばらく下降していくと雪渓が断裂していて左から巻いた。沢に降り進むと2mの滝が出てきた。この滝はクライムダウン出来そうもないので、懸垂で降りた。その後、再び雪渓が現れ、左から巻き、懸垂で沢に降りた。沢に下りてからは、巻きが続く。2段3m、3mの滝はそれぞれ左から巻いた。その後出てきたゴルジュも左から巻いた。9:50に堂沢出合に着いた。ここから沢は鴨沢から楢ノ木沢に変わる。ゴルジュ地形が続き、2度の高巻と1度の懸垂を交えながらゴルジュ地帯を突破した。ゴルジュ地帯が終わり、楢ノ木沢を下降して行くと、左の枝沢入り口に赤テープが見えた。計画では、踏み跡を辿って、アゲマエノカッチを超え、奥胎内ヒュッテに戻る予定だった。この赤テープはアゲマエノカッチへの入り口の目印と判断して、枝沢を詰めていった。ところが、枝沢を行けども行けども、赤テープが出てくる。尾根道に通じる気配がない。結局、かなり傾斜のある、いやらしい詰めで尾根まで出た。アゲマエノカッチは楽に越えられると思っていたのに、大誤算である。詰めに約1時間もかかってしまった。尾根から胎内川までは踏み跡を辿って降りた。無事に胎内川まで辿り着いた3人は川を見て絶句した。水量が増え、とても歩いては渡れない!!最後の最後に50mの泳ぎが待っていた。胎内川を泳ぎきり、駐車場に着いたは15時だった。想定外の泳ぎがあり、みんなザックのなかはビショビショ。長島さんと古巻さんは財布まで浸水していた。


山行最終日:2013年8月4日
メンバー:長島(L) 古巻 伊地知
山域: 同行者の記録
山行形態:
コースタイム:
地形図:えぶり差岳・二王子岳
報告者:伊地知

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