頼母木川足ノ松沢

この週末は楢ノ木沢堂沢を計画していたが、天気予報では午後から雨で翌日はさらに大気が不安定になるとのことだったので、①集水域が狭く降雨時の影響が少ない、②夜間に大雨に降られることも想定して小屋に泊まれる、③翌日降雨でもさっさと下山できる、といったことを考慮して足ノ松沢に転進した。

7日:

奥胎内ヒュッテから足ノ松の登山口へは徒歩で約40分で着いた。登山道に入るとしばらく平坦なブナ林の中を行くが、道が尾根に向かって急登し始めるあたりで、足ノ松沢に向かって伸びている踏跡を辿って入渓点に出た。

入渓後しばらくは小滝が懸る程度

入渓点からしばらくは、小滝や釜が適当な間隔で出てくるが特に難しいところはなく、楽しく遡行できる。地形図からは両岸切り立った険しい印象を受けていたが、実際には沢床の幅があるせいかあまり圧迫感はなく、明るく快活な沢といった印象だ。

2段になって落ちる12M滝

510Mあたりで釜を持った3M滝の左壁をへつって越えると、2段になって落ちる12M滝が立ちはだかる。かなり手前で、左岸にトラロープが垂れているのを見ていたが、滝壷手前の右の泥付からまばらなブッシュと微妙なスタンスを拾ってトラバースするように樹林帯に登って12M滝を巻いた。

小滝三つを巻いたり、側壁でボルダーを楽しんだりしながら進んでいくと、565Mで(1:3)の水量比で右岸に枝沢を分ける。この辺りから谷が開けて明るいゴーロが続く。

6M滝の右壁を登る

沢の真ん中にで~んと座るおにぎりのような岩に水流を分けられた2M2条を過ぎ、6M滝の右壁を登ると小ゴルジュとなる。ゴルジュの中には3Mの滝が三つ続き、次の4M滝の右側を巻くように越えるとまた谷が開ける。

8M滝左側のリッジからテラスに取付く

流れは右に折れて、7M滝がかかるが左側はゴーロなので簡単に越えられる。再び両岸が切り立ってくると、奥に8M滝が行く手を塞いでいる。左側のリッジ状の壁を登ってテラスに乗り、ホールドの乏しいルンゼ状を登ると残置ハーケンにシュリンゲがかかっており、これを鐙代わりにして乗り上がると樹林帯に手が届く。下降点を探しながら巻いていくと手頃なところに残置シュリンゲがあり、これを支点に懸垂で沢床に戻った。

20M2段の滝

ロープを回収し、4M滝を越えると今度は20M2段の滝が視界いっぱいに聳えている。直登は無理で、左岸のルンゼに取り付いて少し大きめに巻きながら樹林帯に取り付くと、あっさりと落口付近に出た。恐らくこの20M2段の滝が足ノ松尾根の滝見場から見える滝である。

短いゴルジュを抜けて、左に小さな流れを分けると、襞のような縦の節理の壁を持った5M滝が出てくる。フリクション抜群でボルダー的なムーブを楽しんで登る。

高々と聳える右壁のスラブとスラブを穿つ一条の枝沢

続く5M、4Mをまとめて右側を巻いていくと、次第に両岸が高く切り立ってくる。2Mを越え、5MCSの右岸を巻くと、谷は左に屈曲し、右壁は高々と聳えるスラブ壁となる。そのスラブの屈曲部を穿つように一筋の枝沢が滝のように白い水流を落としている。この辺りが地形図で一際目立つ800M付近のU字カーブのところである。

流れが屈曲するとすぐに8M滝が谷を塞いでいる。前の滝に続いて左壁に取り付くが、上部が80度くらいのスラブとなっており少しホールドが甘そうなので、空身で登って荷揚げと後続の確保をした。また2M程度の下降だが落ちると滝下まで行ってしまうので、もげそうな潅木に巻かれた残置シュリンゲにロープを通して補助として使った。この滝を越えると、谷がだいぶ浅くなって源頭の雰囲気も漂ってくる。

上下にチョックストーンを配した2段の滝

再びゴーロとなり、上段下段にそれぞれCSがある8M2段、4M簾状の滝を越えると、一層源頭の雰囲気が濃くなってくる。右側に崩壊した壁を見て通り過ぎ、左手に豊富な湧水からの流れを見送ると、生暖かい空気とともに濃いガスが漂ってくる。その気配どおり、雪渓が現れた。雪渓端は右側が崩壊してなくなっているが、奥は完全に谷を覆っていて、下部を覗くも真っ暗で何も見えない。

雪渓からそのまま高巻いた黒滝

左側の基部にトンネルができていたので、そこを潜って雪渓の上に立った。そこから約50M歩くと、左側に枝沢が別れ、正面に滝が懸かるところで雪渓が終わっている。雪渓の末端はちょうど本流と枝沢の中間尾根に接しており、難なく中間尾根にとりついてすぐにブッシュ帯に手が届いた。高巻き途中で滝を見下ろすと30Mくらいありそうで、どうやら黒滝であろうと判断した。この高巻きも全く問題なくブッシュ伝いに沢床に戻った。

正面に写る斜面を登って右へトラバースする

8Mの簡単な滝を越えると、再び左に枝沢を分ける。枝沢の奥には斜めに切り立つ奇形の岩峰の影がガスを透かしてほんやりと映っていた。本流には8Mの滝が懸かっており、枝沢と本流の間のスラブを滝の落ち口より少し高いところまで登って、落ち口へと続く草付をトラバースした。草付とはいえ基部の岩壁が露出したしっかりしたスタンスが拾えるので安心感がある。

右に大岩がある7M滝

谷はだいぶ浅くなり、水流も少なくなってくる。この日の行程にも目処が立ったようなもので、遡行終了の気分が沸いてくる。右に大岩がある7Mを登るとすぐに2Mが続いていて否応なしにシャワーを浴びせられた。

最後は草原となって大石山と鉾立峰間の登山道に出た

だんだんボサがひどくなってくるが、最後はボサが草原に変わって、膝上くらいの草と高山植物が入り混じった少し急な斜面を詰めると、大石山と鉾立峰間の登山道に出た。ここから頼母木小屋までは55分くらいだった。

頼母木小屋に宿泊者は管理人の顔馴染みの地元山岳会の方一人だったので、予想に反して落ち着いて小屋での時間を過ごすことができた。夜から明け方にかけてかなり強い雨が降ったので、一日で沢を詰めて小屋泊まりにしたのは正解だった。

8日:

明け方一帯を覆っていたガスが少し晴れてきた頃、雨の中頼母木小屋を出発して下山した。昼前に車に戻れたので、帰路のんびりと車を走らせた。

 

同行者の記録

遡行図


山行最終日:2013年9月8日
メンバー:長島(L) 伊地知
山域: 飯豊連峰 胎内川
山行形態: 沢登り
コースタイム:
7日:奥胎内ヒュッテ(6:50)-登山道入口(7:30)-490M付近入渓点(7:45)-600M付近(9:15)-845M付近(12:15)-1100M付近(14:00)-鉾立峰と大石山間のコル(15:25)-頼母木小屋(16:20)
8日:頼母木小屋(8:30)-奥胎内ヒュッテ(11:30)
地形図:えぶり差岳
報告者:長島

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください