鹿ノ俣川 大持沢

1日:

鹿ノ俣川は胎内川の一大支流であり、黒石山を源頭として、北に向かって胎内川の西側を並行して流れ、宮久集落の胎内ロイヤルホテルの対岸で胎内川本流に合流している。流呈は全長約17km、標高差は約1000Mであり、高度差の半分を上流部1.3kmの間に一気に流下している。

鹿ノ俣川は長大な流呈の大部分を歩かなければならないため、入渓点と下山地点が離れており、交通の不便を懸念してきたため後回しになっていた沢である。10月の三連休、奥胎内ヒュッテに宿泊した折に、10月26日以降の週末に胎内ロイヤルホテルとの間にシャトル便が運行されることを知ったため、今回実施に踏み切った。

鹿ノ俣橋付近の広大な駐車スペースに車を停めて、荷物を背負って鹿ノ俣川沿いの林道に入る。林道の状態は良好であり、風倉山登山道入口の手前の堰堤付近まで十分に車で走れそうだが、車両は進入禁止である。路面は舗装されているものの、絶妙に腐食し水分を含んだ落ち葉がやけによく滑る。

晩御飯の付け合せにしようとヤマイモのむかごを採りながら歩いたので、風倉山登山道入口まで先週の鱒谷沢遡行時よりも30分余計にかかった。林道は川に沿って標高260M付近まで延びており、林道に続いてアゲマイ沢付近まで明瞭な踏跡がある。

下流部は平凡な瀬が続く

川は延々と平瀬が続き、所々小さな淵があったり小さなゴルジュがあったりするが、通過に難儀するところはない。川岸には少なくとも左右いずれかに河原があり、さっぴら沢出合を過ぎる辺りまでは段丘も多い。紅葉が始まったブナの段丘を見ながら、登山道を歩くがごとくまったりした気分で遡行する。

ひら沢を過ぎるとようやく滝が懸るようになる

485Mで左岸にひら沢を(2:1)で分け、右岸に小さな枝沢を2本分けると右岸に水が湧いていたので昼食用に水を採る。幾分斜度が出たゴーロを登ると標高520M付近で、沢筋は左に曲がり、左岸に枝沢を分け、平坦な流れに戻る。ここで昼食を摂った。
ここから右岸が切り立った岩壁になり、やがて小ゴルジュと化して釜を持った2M滝が懸かる。この滝がこの沢で最初の滝らしい滝だ。ここは濡れるのを嫌い、左壁を2Mくらい登ったところから草に隠れたスタンスを拾って落口にトラバースした。2M滝を越えると再び沢筋は開けて、540Mの(1:1)の二俣となる。

ぽつぽつ滝が懸るがまだ険しい所はない

左俣へ入り、平瀬が続く小ゴルジュを抜けると、6M直瀑が懸かる。この滝は左側やや手前から小さく簡単に巻ける。右手にBP適地を見るも、先へ進む。右岸に(1:2)で地形図から予測するよりも水量の多い枝沢を分けると、小釜が二つ続き3M滝の右のバンドを斜上する。

ナリバ峰の麓で大きく右に曲がりV字谷になる

さらに2M前後の滝をいくつか越えていくと、ナリバ峰の直下で、右岸に何本かの枝沢を分けながら沢筋は大きく右に曲がって行く。
曲がった先は深いV字谷となり、何かありそうな雰囲気を呈する。最初に釜を持った1.5Mの滝が現れるが、濡れたくないので、右壁に取り付き高さ2Mくらいのところをきわどくへつって落口に辿り着いた。

V字谷に早速10M滝が現れた

この辺の壁は鉈ですっぱりと割ったような美しい平面を露出させている。直ぐ先には10Mの幾分斜めに水流を落とす滝が懸かっている。左壁が登れそうに見えたが、取り付いてみると段差が大きく幾分外頃していて悪いので、戻って右のリッジ状の壁に取り付いて、上部は木登りでこの滝を巻くと、ちょうど落口に出た。この高巻を終えようかというところで、メモ帳を落としたことに気が付いて探しに戻ると、木登りの取り付き地点付近にペンと一緒に落ちており、幸いにして紛失を免れた。

間をおいて10M滝が続く

蛇行するゴルジュが続き、釜を二つ過ぎると、やや開けてきて再び10M滝が懸かる。今度の滝は左右どちらも巻けそうだが、左岸の枝沢を登ってブッシュ帯に取り付いてトラバースした。沢筋はだいぶ浅くなり、平凡なゴーロが続く。740M付近でテント一張り分くらいの河原を見つけて、ここを整地してテントを張った。薪は少なく湿ったものしかなかったが、一旦点火したら順調に燃え、今年最後になりそうな焚火で足元を乾かした。

 

2日:

730M付近幕場からもV字の谷が続く

前日かなり源頭付近まで遡行してきたため、いつになく遅い出発とする。8時半にテントをたたんで幕場を後にした。水量はだいぶ少なくなっており、大きな滝もないだろうと思っていたが、さすがにそこまで甘くはなかった。

核心の8M滝 右側の草付から小さく巻くが悪い

しばらくはゴーロが続き、780M付近で両側に枝沢を分けると短いながらもV字谷となる。2M滝でゴルジュを抜けると、ほぼ(1:1)の水量で左岸に枝沢を分ける。左右双方とも小滝を懸けて、その上にナメ、さらに奥に大きな滝を懸けている。左の本流は8M2段の滝を懸けており、左岸の草付を登って落口に出た。この巻きが今回唯一飯豊らしいところだっただろうか。地形図からは読み取れないが、ここで右岸に(1:2)の結構な水量の枝沢を分け、息つく間もなく12M直瀑が懸かる。左壁に蛇行するように並ぶホールドに従って登っていくが、途中で手がかじかんで感覚がなくなり回復を待つ。登攀を再開し、最後は水流左際すれすれのところに辿り着いた。4M滝を左から越え、5×10のナメ滝を過ぎるとゴーロとなり、935Mで流れが(1:3:9)くらいの水量比で分かれる。もはやどの流れを見てもただ詰めるだけなので、登山道跡にダイレクトに突き上げる左の窪に進路をとった。左窪を進むと直ぐに水枯れとなり、ここで靴を履き替えて尾根に乗り、適当な間隔で生えている潅木を掴みながら登っていくと、1060M付近で登山道跡に出た。

かつて登山道があった藪尾根を下降する

廃道となった登山道を下り、胎内第一ダムの堤体の上を渡って奥胎内の林道に出て、奥胎内ヒュッテに向かった。紅葉見ごろの三連休とあって、ヒュッテ付近の駐車場は車であふれかえっており、それでもさらに次から次へと車がやってくる。ヒュッテの前で約一時間待って、シャトル便に乗ってロイヤルホテルで降り、再び荷物を背負ってスキー場のゲレンデ内を通る林道を経由して鹿ノ俣橋に戻った。

 

遡行図


山行最終日:2013年11月2日
メンバー:長島
山域: 飯豊連峰 胎内川
山行形態: 沢登り
コースタイム:
1日:鹿ノ俣橋(6:30)-風倉山登山口(8:10)-さっぴら沢出合(11:50)-730M付近幕場(14:55)
2日:幕場(8:30)-935M三俣(9:25)-稜線登山道跡1060M(10:15)-奥胎内ヒュッテ(12:45/13:50)=<シャトル>=胎内ロイヤルホテル(14:25)-鹿ノ俣橋(15:20)
地形図:菅谷・えぶり差岳
報告者:長島

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