前川 アシ沢

前川の大きな支流で昨年実施できなかった山行がアシ沢だったので、長らく待ち焦がれた山行ということになる。結果を先に述べると、険悪なゴルジュはほとんどなく、南斜面の明るく開けた沢という印象だった。長いゴーロがあるなどやや冗長な部分もあるが、直登も高巻きも含めて楽しめる滝が適度に懸る上に、左岸にはオンベ松尾根の登山道があってエスケープも他の沢に比べれば容易であるなど、正に沢登りのための沢と言える。

 

3日:(晴)

今回は登山道入り口まで林道を往復するので、駐車場ではなくゲート直前の道脇のスペースに車を停めた。ゲートを通り抜けて歩いていると、先々週は一匹しか見なかったメジロも纏わりつく程に増えていた。約2時間で林道終点に着いたが、暑い日には途中のトンネルがオアシスのようだった。休憩した後に出合に向かって登山道を下降する。

登山道から見下ろしたアシ沢

晴れているせいもあるが白い花崗岩の岩盤と転石が明るくて気持ちが良い。アシ沢というと登山道が崩れたとか橋が流されて架け替えたとか、荒れた沢を想像させられる話が多かったので荒々しい沢を思い描いていたが、それに反して明るく開けた印象を受ける。いくつかの小滝を越えて深い釜の1.5Mのゴーロ滝を右から巻くと開けたゴーロに出る。ここには千切れたトラロープが埋まっていたので、旧登山道の横断地点だったのかもしれない。

最初の小滝
開けたゴーロ

末広がりの三角の釜に注ぐヒョングった2×2の小滝から小さなゴルジュとなる。ゴルジュ内には小さな滝が4本懸っており、出口付近には雪渓が架かっていた。雪渓を潜り抜けた後、張り出した左壁がCSのようにも見える5Mの斜瀑、7M直瀑と直登する。次の8Mは登れず右岸を巻き、一旦続く6Mの基部に降りた後この滝も右岸を巻く。左右に枝沢を分けた後、短い樋状の流れを過ぎてさらに河原を進むと、ヒョングリ気味の10M直瀑が懸っている。一旦左岸の草付から落口へ向けて小さく巻こうとするが、草に隠れた斜面は登るほどにのっぺりしてきたので断念、少し戻って左岸を巻いて滝上の河原に出た。

小ゴルジュ入口に懸る末広がりの三角の釜の小滝
ゴルジュ出口一帯に架かっていた雪渓
左上の張り出しがCSにも見える5M滝
右岸を巻いて8M滝落口に立った
短い樋状の流れ
ヒョングリ気味の10M滝

河原は次第に開けてきて、左に枝沢を分けた後両岸に壁だけになった雪渓の残骸を見ると、一気に開けて流れが二分して中州を形成し、左岸には草叢の斜面が広がっている。この開けた河原の終端には18M滝が懸っている。この滝は真っ平らなスラブから落ちた水流が放物線を描き、基部の岩盤に当たって砕けた下で「く」の字を描いている。左岸の浅いルンゼを少し登ったあと落口へ続く草付バンドを斜上するように小さく巻いて落口に立つと、直後には5×5の滝が続いており、右のもこもこしたスラブを登る。少し間をおいて小さな釜の5×3は腰上まで釜に浸かって水流右側の壁に取付きそのまま右壁を登る。やや幅広の4M滝を過ぎると露岩帯となり、露岩の上に転石がでてきてゴーロになると(1:1)で下のあし沢を分ける。

長く開けた河原
18M滝 落口右側に草付バンドがある
基部付近から見上げた18M滝
二俣付近

二俣には上のあし沢側に雪渓が架かっていて、雪渓下部の空洞が二俣状に分かれた中を流れに沿って右へ抜ける。15×20の幅広のナメ滝と2M滝を過ぎるとしばらくゴーロになる。ゴーロは4M滝で終わり、続いて先に登った18Mと似た構成の9M2段の滝が懸るが、この滝の下部は椀を伏せたようにきれいに広がっている。9M滝の左岸を巻くと、さらに4Mと12M滝が続く。12M滝は3段と言ってもよく左岸の枝沢が並ぶように滝となっている。椀を伏せたような岩盤上で水流を二分する左5M右2Mの滝を越えると浅いゴルジュの中に4本の滝が続く。

幅広ナメ滝
9M2段の滝
12M滝 右に枝沢の滝が並ぶ
小ゴルジュに連なる連瀑

ゴルジュの連瀑を抜けると雪渓が架かっており、アイスハンマーを突き刺して左岸の泥付から雪渓に乗る。雪渓は推測18Mの3段の滝で口を開けており、左岸のスラブから滝上まで巻く。滝上にはすぐに次の雪渓が続き、今度は1245M奥の二俣の先まで覆っていた。右沢は滝を懸けて出合っており雪渓は大きく口を開けているので、直接は右沢に取付けず、奥の二俣の少し先の小さな枝沢の手前で左岸に取付いて小尾根を乗越して右沢に入った。

最初の雪渓
18M3段の滝で大きく口を開けている
最下段は雪渓下に懸っている
奥の二俣の先まで続く二つ目の雪渓
右沢から見下ろした奥の二俣

出合の連瀑の上まで巻き気味に登るとゴーロとなるが、すぐに雪渓が架かっていて視界が効かない程に靄が立ち込めている。ここからは幕場を探しながら進むが適地が見つからない。結局次の雪渓を越えた後の急なゴーロの中に何とか一人横になれるくらいのテラスを見つけて、ここを整地してテントを張った。薪になるような流木は皆無で焚火はできなかったが、すぐ近くに岩の割れ目から湧き出る湧水があって飲み水には恵まれた。

右沢最初の雪渓 視界が効かない程の靄に覆われる
紅葉の葉のように裂けた末端
雪渓に続くゴーロ
また雪渓 アイスハンマーを使って右壁から上に乗った
幕場のテラス直下の湧水
なんとかゴーロの中の小さなテラスを整地した幕場

夜は満点の星空を満喫、流星や燃え尽きる人工衛星も観ることができた。また、何処にアンテナがあるのか分からないが、携帯の電波がかなり安定して入っていた。

 

4日:(晴)

幕場を後にすると、ゴーロから次第にスラブが主体的になりスラブの窪みに転石がたまっているような渓相になる。いくつか滝を越えていくうちに幾つかの窪に分かれて水流はほとんどなくなる。最後まで水流が残る窪を辿ると、最後は灌木交じりの草付となって櫛ガ峰と早川のつきあげの中間あたりに詰め上がった。かすかな踏跡を辿って登山道に出た。

1550M付近
水が涸れて急峻な岩交じりの草付になる
尾根から見下ろしたアシ沢
早川のつきあげから見た牛首山方面

早川のつきあげから登山道入口まで約2時間。暑くなる前にと思っていたが、月心清水に着く頃にはすでにうだるような暑さだった。アシ沢を徒渉した辺りからメジロに付き纏われる。前日よりも活動は旺盛で、噛みついてくる個体も増えていた。暑さでペースも上がらずさらに2時間半弱で林道ゲートに辿り着いた。

 

遡行図


山行最終日:2019年8月4日
メンバー:長島
山域: 飯豊連峰 阿賀野川
山行形態: 沢登り
コースタイム:
3日:林道ゲート(7:00)-登山道入口(9:00)-出合(9:15)-760M10M滝上(11:25/11:45)-1400M付近(15:50/16:00)-1535M付近C1(17:00)
4日:1535M付近C1(5:30)-登山道(6:50)-登山道入口(9:10)-林道ゲート(11:30)
地形図:大日岳
報告者:長島

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