前川 御西沢大日沢

18日(曇)

実川の五十嵐邸近くの駐車場に車を停めて前川右岸の林道を歩く。この林道を終点まで歩くのは2011年にビンカガグチ沢を遡行した時以来になるが、やっぱり長い。登山口は林道の末端に変更されており、登山道はアシ沢出合に向かって下降した後、徒渉を経てオンベ松尾根の基部を急登している。登山道が台地に差し掛かり平坦になった辺りで「登山道」の看板がある所から、前川沿いに続いている踏跡を辿ってオンベ沢出合付近で入渓した。

オンベ沢出合は河原だが、すぐに深い淵があって右岸の踏跡を辿って巻く。渓相は概ね河原が続いているが、所々に淵や深場がある。水量もあるし流れも速いので、淵と言っても泳いで突破するというわけにもいかず、河原と言えども自由に遡行できるわけでもなく徒渉点は限られている。何度かの徒渉と2回の巻きを交えて遡行していくと、記憶も新しい松ノ木穴沢出合が見えてきた。出合付近には比較的新しい焚き火の跡があった。

オンベ沢出合の先の大きな淵
左岸から7M滝を懸けて流れ込む枝沢

入り鳥ノ子沢出合手前の淵の手前で右岸に徒渉して、比較的開けた河原を歩くと左岸そして右岸と切り立ってきて深い淵に行きあたる。今回は左壁沿いを泳いで流れ込み左側の斜面に取付いた。2011年遡行時と先月遡行時の写真を見比べて分析した通り、2011年より流れは緩くなっており、水位が上がっている分壁に取付きやすくなっている。取付き点には残置ハーケンがあり、これにスリングを懸けてアブミにして壁に乗りあがった。念のためザックを流して空身になれるように、自分とザックをロープで結束しておいたが要らぬ対処となった。また2011年にあった残置ロープはなくなっていた。

入り鳥ノ子沢出合手前の淵
下追流沢へ向かう時は左岸を巻いた淵
今回は泳いで左壁に取付いた

前回左を巻いた大淵は右から巻いて、残置スリングを利用して懸垂で沢身に戻ると、正面に落差のある滝を懸ける枝沢が見えてくる。本流は右へ曲がっており幾分ゴルジュっぽいところを過ぎると、ゴーロで下追流沢出合に至る。

前川のゴルジュは開豁で明るい
深い淵もあるが左右いずれかの岸を歩いて遡行できる
下追流沢出合

下追流沢を分けた後の最初の淵は、過去泳いだ記憶があるが腰上までの徒渉で左岸から右岸に渡れた。次の深場は右壁の斜上バンドを登る所までは記憶通りだが、そこから先も急流の深場が続きバンドは続いておらず、左岸樹林帯に取付いて高巻いた。草薮の浅い谷地形を利用して沢身に戻り、ゴルジュが続く中を左岸通しに進むと右壁から落ちる太い水流が見えてくる。

水量は減るはずだが沢幅が狭まり水圧は変らない
右壁の陰から落ちる太い水流

ここから一連の魚留ノ滝が続く。最初の5M滝は右から越え、滝上で右岸に渡り、大釜の8M2段、筒状の壁に囲まれた釜に落ちる5M滝を横目に進み、河原を挟んで最後の12M滝は左壁を登って最上段の1Mは右岸ブッシュ帯から巻いた。

大釜に注ぐ8M2段の滝
5M滝の筒状の釜
12M滝
12M滝を基部付近から
12M滝左壁からみた落口

この後、釜に続く急流帯を左岸から巻き、御西沢手前の右岸枝沢出合の直前の急流帯を右岸から巻いた。いずれも懸垂で沢身に戻った。

魚留滝の上も開豁なゴルジュが続く
虹吹の滝が見えてきた

御西沢出合は開けた河原で、本流は御西沢との中間尾根の張り出しにやや隠れるように20M虹吹の滝が懸り、一帯に飛沫を霧状に舞い上げている。これを越えるとすれば左岸の枝沢から樹林帯に取付いて高巻くことになるだろう。御西沢右岸よりの小高いゴーロの上に小さな平坦地を見つけテントを張った。

虹吹の滝

設営後、御西沢上流の様子を見に行く。左岸のハング壁と右岸のスラブ壁に挟まれた流れには、細長い淵の奥にツルツルの6Mくらいの斜瀑が懸っている。明日は高巻きから始まりそうだ。

左に傾いたようなゴルジュの奥に滝が懸る

19日(晴時々曇)

出合から見た本流の下流側

幕場のすぐ脇の小沢から樹林帯に取付いて、出合から見えていた滝の一つ上の滝の上流に懸垂で降り立つ。ゴルジュは尚も続いており、沢が左右に曲がった後に5M滝を越え、その後に続く3M-4M-10Mの滝を巻くべく左岸の岩場からブッシュ帯に取付く。10M滝の上で黒羽根沢が滝を連ねて出合っており、出合の上で一層幅が狭まった中に12Mくらいの滝が懸っている。幾分斜度が緩くなった草付を下降して沢身に戻る。

最初の滝の落口
5M滝
ゴルジュの中に続く3M-4M-10Mの滝
高巻きルート対岸の黒羽根沢
12M滝
斜度が緩んできたところで沢に戻る

3m2条を簡単に越えた後、釜に注ぐ小滝を右壁の微妙なバンドに登ってトラバースして巻き、次の4Mは右岸のガレルンゼから巻いてスリングを残置して25Mの懸垂で沢身に戻る。

4M滝

950M付近で右岸に枝沢を分けると、高さ8Mくらいの出口が見えない雪渓に進路を阻まれる。雪渓は下部50cmくらいのところに明瞭な層の境があって崩落しないまでも剥離する可能性もあるので、高巻くことにした。

剥離しそうな雪渓

右岸の浅いルンゼからブッシュ帯に取付いて、時折雪渓の様子を見下ろしながら進んでいると、下の方から何度か崩落音が響いてくる。雪渓には何か所か亀裂が入っており、末端には崩落間もないブロックが散乱しているので、少なくとも足下の雪渓は巻き切らなければならない。足下の雪渓は一旦途切れるが、その先の大日沢出合が亀裂が入った雪渓で覆われている。雪渓が途切れたところに一旦下降するかどうか、二俣の雪渓を観察しながら思案するが、結局二俣の雪渓を直下に見下ろすところまでは巻くことにして、1040M枝沢を横切る。二俣の雪渓も亀裂だらけで大きな段差ができている。こちらでも何度か崩落音が聞こえてくるので、下降を断念してさらに上流へ進む。

トラバースするにはかなり高度を上げなければならない
二俣 御西沢(日出谷沢)にも雪渓が見える

二俣の雪渓が途切れると30Mくらいで次の雪渓が続くが、高さがあり両岸が壁から浮いており亀裂が入っている。ここまでの行程に要した時間から、本来の計画「大日沢を詰めて黒羽根沢を下降して御西沢を遡行」には時間が足りないことは明らかで、せめてどれか一つをとるなら本流を詰めたいと思い、本流にアプローチするルートを思案するがどれもが雪渓によって断ち切られている。本流を断念して大日沢に絞ることにした。

大日沢にも崩落しそうな雪渓が続く

今足下に見ている雪渓は間もなく終端となりゴーロが続いているが、一カ所ゴルジュが狭まった所に滝が懸っていそうなので、その先まで巻いて谷が右にカーブしている辺りに降りることにした。延々と質の悪いブッシュの間を潜り抜けたり掻き分けたりして、カーブ付近の小尾根を下降し浅いルンゼに向かって降りていくと何とか懸垂せずに沢身に戻れた。一歩間違えば懸垂下降しようにもロープが届かない壁に行きあたる所だ。途中昼食を摂ったり、御西沢本流へのアプローチを探るために思案したりして時間を使ったが、6時間以上を要した高巻きが終わった。

崩落しそうな雪渓を巻くとゴーロの世界
沢に降りてきた
雪渓を越えるより幕場探しを優先する時刻

降り立ったところは石だらけのゴーロ帯だが、左岸枝沢の枯れた分流帯に平坦な部分があり、若干の整地で快適な幕場になった。

ゴーロのバンドに平坦な所を見つけた

20日(曇後雨)

空気が乾いていて、設営した時に前夜滝の飛沫で濡れていたテントも乾いて、気持ちよく撤収する。

広大なゴーロ帯を少し登ると幕場に下降する時から見えていた雪渓が架かる。左岸から雪渓に乗って末端まで行くが、末端は接岸していないので30Mくらい戻って左岸に取付いて斜面をトラバースした。

谷が浅いので雪渓はあまり問題にならない

その後は延々とゴーロが続く。1740M付近では左岸一面に石が敷き詰まった所から水が湧き出ており、流れは左に折れている。地形図では二俣のようにも見えるところである。簡単な滝が4本ほど出てきたところで源頭ともいえる湧き出しとなり、そこからは窪や露岩帯を繋ぎながら斜面を登る。最後はハイマツと笹が混じった藪を、ハイマツを避けるようにルートをとりながら登っていくと大日岳の北東20Mくらいの登山道に出た。

ゴーロが続く
7M2段の滝
大日岳に向かう詰め
辿ってきたゴーロを見下ろす

大日岳山頂で携帯の電源を入れて天気予報を確認する。後日も雨が降らなければ御西沢本流を源頭から大日沢出合までピストンしようと思っていたが、ラジオで聴いた通り雨になりそうなので下山することにした。

大日岳山頂

今年で飯豊の沢に通い始めて8年になるが、オンベ松尾根を歩くのは初めてだ。登山道というより踏跡に近いと思うようなところがあるので、馴れた人向けのルートと言えるだろう。それに櫛ヶ峰北東の肩より月心清水までは非常に歩きづらい。月心清水より下部は普通の登山道といった感じになるが、最後アシ沢出合へは急な下降となる。湯ノ島小屋で泊まっていこうかとも考えたが、どうもジメジメした暗い感じと、やたら蚊が多いのと、時刻もそれほど遅くないので、駐車場に直行して下山することにした。

オンベ松尾根牛首山付近

御西沢下部は登れない滝が多くて高巻きが続き、大日沢出合付近は状態が悪い雪渓に阻まれて高巻きに終始した。雪渓が途切れた部分から想像するに、この沢は河原歩きと登れない高巻きに終始するのではないだろうか。上流部はひたすらゴーロ歩きとなって単調だが、開けていて景色のよい斜面をダイレクトに大日岳に詰め上がり、比較的藪漕ぎも少ない。

 

遡行図


山行最終日:2018年9月20日
メンバー:長島
山域: 飯豊連峰 阿賀野川
山行形態:
コースタイム:
18日:実川駐車場(6:50)-登山口(9:20)-オンベ沢出合(9:55)-松ノ木穴沢出合(11:10)-下追流沢出合(13:15)-御西沢出合(16:10)
19日:御西沢出合(7:15)-黒羽根沢出合ゴルジュの上流(8:55)-1040M右岸枝沢:高巻(11:50)-1170M右岸枝沢:高巻(14:25)-1350M左岸枝沢出合(16:20)
20日:1350M左岸枝沢出合(7:40)-1880M:源頭湧水地点(9:20)-大日岳(10:55)-牛首山(12:00)-湯ノ島小屋(15:15)-実川駐車場(17:40)
地形図:大日岳
報告者:長島

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