飯豊川 赤渋沢

下流部ゴルジュから赤渋沢へと遡行する計画を立てたが、13日の天気予報はおおかた雨の予報だった。今回は登攀に不安のないリーダー会員の丸山氏とパーティを組んだため、赤渋沢の遡行を優先すべく、やむを得ず下流部ゴルジュを諦めて飯豊山荘から山越えで飯豊川に入渓することにした。
11日早朝に丸山氏と加治川治水ダムの駐車場で落ち合ったが、ルートと日程を変更を伝えて、その日は天気情報を収集したりして新発田で時間をつぶした後、関川の道の駅へ移動して翌朝を待った。

12日:曇のち雨

石転び沢ルートを登ることにする。飯豊山荘の少し先の駐車場に車を止めて石転び沢ルートへ向かううちに、アブにまとわりつかれたが、石転び沢ルートに入って梶川出合を過ぎる頃にはアブから解放された。時折体にぶつかってくるのはアブではなくトンボだった。雪渓は石転び沢出合から黒滝下まで続いており、スプーンカットを辿って黙々と登った。梅花皮小屋に着き、水を汲んだ後に受付を済ませると雨が降り始めた。いいタイミングで登ってきた。

石転び沢 雪渓の亀裂を慎重に切り抜ける
梅花皮小屋直下

13日:雨時々曇

天気予報によると雨は午前中までのようなので、翌日に備えて洗濯沢出合まで足を延ばすことにする。雨が小降りになるのを待って、宿泊していた登山者がいなくなった後で小雨の中、梅花皮小屋を後にした。

北股岳山頂より、7月26日に赤谷林道での山崩れが確認されたため通行止めになっているおういんの尾根を下降する。途中1739Mから1603Mの中間あたりまで刈り払いされていたが、その先は雨に濡れたブッシュを掻き分けながら進む。やがて樹林のトンネルになると、間もなく中峰に到着する。

北股岳山頂から中峰までおういんの尾根を辿る

中峰からわずかに登山道を下降して、孫左衛門沢左俣を下降する。下流部に滝があるが、右岸を巻いて下降できる。大滝を懸けた右俣と合流すると間もなく出合に出た。

孫左衛門沢左俣

孫左衛門沢出合から洗濯沢出合までは、だいぶ河原の様子が変わっていた。以前は何度か徒渉しながら遡行したが、今回は赤谷沢出合まで右岸通しに遡行し、左岸に渡った後は洗濯沢出合の広河原で幕場のある右岸に渡り返したのみだった。河原の様子も変わっており、以前砂地だったところは石が点在していた。洗濯沢寄りの細い枝沢が落ちている辺りを整地してツェルトを張った。薪を集めて火を熾すが、降り続く雨で衣服は乾かない。夕刻になってようやく雨が止んで衣服が乾き、それからは快適に過ごすことができた。

飯豊川本流
飯豊川本流
洗濯沢出合の広河原

14日:曇時々晴

一大支流の洗濯沢を分けるとさすがに水量は少し落ち着く。何度か徒渉を繰り返すが、概ね膝あたりまでで問題ない。赤渋沢出合に着くと、荷物をデポして本流のゴルジュを覗きに往復する。

赤渋沢が近づくと赤い岩壁のゴルジュになってくる

ゴルジュが左に曲がる手前が深場となっており泳ぐか腰か胸あたりまで浸からなければ先へ進めないので、最初の滝を見ることなく引き返したが、今年は雪渓は架かっていなかった。

赤渋沢は大きな滝を懸けて出合っている。下部から観察した限りでは左岸のスラブを登って、ハング帯をなんとか越えられれば上部も行けそうである。左岸スラブ手前のガレを横断する時、スラブ帯を越えるのに骨が折れそうなので、そのままガレを登ってハング帯上に続くブッシュ帯に取付いて、ハング上で左壁に取付く。スラブ状の左壁上部を登ったところで、次の滝の基部の釜から流れ出す水流を一跨ぎで右岸に移る。

赤渋沢出合の滝
下段の滝の落口付近から見下ろす基部と本流
出合の滝の上段

次の滝はかなり立っており、両壁ともにのっぺりしている。右岸のスラブを登って尾根寄りから登れなくもなさそうだったが、スラブ上部からブッシュ帯の尾根に乗って巻きに入った。二つ目の滝の上には間をおいて滝が続いているが、上から見ると登れそうもない。下降できなくもなさそうだったが、下降したルートを戻らなければならなそうなので、15Mくらいのスライダー状の滝の落口付近へ続く小尾根を下降しにかかる。しかしすぐ先に上部が二条になった30M滝が懸っていたので、少し登り返してブッシュ帯と草付の境目をトラバースして30M滝上に降りた。

右岸を巻く
30M滝の落口に降りた

4Mくらいまでの滝を4つほど登ると、30Mの登れそうもない滝が懸る。両岸とも切り立った岩壁だが、上部が外傾した左壁よりブッシュ帯に届きそうな右壁を選択する。三つに細かくピッチを切って登り、荷揚げと確保を繰り返す。最初は10Mほど登ってルンゼの流れ出しにできた80cm径ほどの窪みまで登って、ハーケンとブッシュで支点を取って後続を確保する。2ピッチ目は空身で疎らなブッシュ混じりの草付を10M登った所でブッシュのテラスに出て荷揚げをして、自分のザックを背負い丸山氏のザックは支点に固定して、3ピッチ目を登る。3ピッチ目は段差は大きいが階段状の岩壁を登ると、ブッシュ帯に到達する。ブッシュ帯を少し登ったテラスで後続を確保した。そこからさらにノーロープで岩壁から上部のブッシュ帯に取付いて20Mほど登った所から上流に向かって斜めに下降に移行する。最後は懸垂30Mで30M滝落口の草付下に下降した。

ゴルジュに2M~4Mの滝が続く
大きな滝が見えてきた
30M直瀑
左岸を巻く
細かく三つにピッチを切って、
空身で登って荷揚げと確保を繰り返す
斜め懸垂で草付下の落口に下降

ようやく沢に戻ったといったところだが、二つ目の小滝を越えたところでCS滝に阻まれて先へ進めず、再び右岸の巻きとなる。眼下には2M~5Mの滝が断続するゴルジュが続いているが、何よりもロープが届きそうな下降点が見つからない。ゴルジュが途絶えたところで河原状となり小さな雪渓が残っているのが見える辺りを目指して下降するが、河原の先にはまたも登れそうもない大滝が懸っている。今回も登り返して大滝とその上部に続く滝の上まで巻くことにして登り返す。

CS滝
大滝

大滝の右岸は滝脇から側壁にかけて大岩壁をなしているため、尾根まで登り返してしばらくは尾根を辿る。確実に下降できそうなポイントに目星をつけて、1230Mで左岸から枝沢が入る辺りを目指してトラバース気味に下降を始める。下部までブッシュが続くところを見極めて下降して、懸垂10Mで沢床に降り立った。

尾根を辿って大滝を巻く
下降点付近

幾分開けた感じになり、河原混じりに2Mから5Mの滝を三つ越えると、ゴルジュとなる。手前の滝を登ってゴルジュが右に曲がった先を窺うと8MCSで塞がっているので、ゴルジュ入口まで戻って右岸のルンゼから巻くことにした。30Mほど登った所から、ブッシュ混じりの笹帯と草付の境目をトラバースしていくと、8MCSでゴルジュは終わるが、その先には懸る手がかり乏しそうな10M滝が懸っている。懸垂35Mで10M滝の上に降りた。

3M2条の滝
5M直瀑
ナメの連瀑
8MCS滝
10M滝を越えた辺りに懸垂下降

さすがに両岸の傾斜も緩くなってきて、滝の間隔も開いてきた。断続する滝を越えながら幕場を探すが、なかなか見つからない。小ゴルジュに懸る連瀑の手前左側の草むらの中に何とか二人横になれるくらいの場所を見つけたので、整地して幕場とした。寝れないよりはましだが、蚋の多さには閉口した。

開けてきてはいるが幕場適地が見つからない

 

15日:曇

この日は、蚋の襲撃を避けるために調理が必要な食事を昼に回して、昼食用に持ってきた食料を朝食として摂って行動を開始した。

小ゴルジュに懸る小滝は左側壁をへつって一旦中段に降り、再び左側壁を登る。小滝二つを越えると、1460M二俣で(1:1)で水流が二分する。左へ進むと、5~6Mくらいまでの滝はあるものの難しい所はなく、所々にナメが見られるようになる。やがてボサが煩くなってきて、後に笹のトンネルとなる。窪が途絶えたところで笹薮に突入し、30分くらいで登山道に出た。

小ゴルジュに懸る小滝連瀑
ゴルジュの連瀑を登る
小滝が続く

源頭部 少し笹藪を漕がなければならない

笹薮漕ぎで右目のコンタクトをはじかれてしまったので梅花皮小屋でコンタクトを装着し、門内小屋で早めの昼食を摂ってゆっくりした後に、梶川尾根を下降して飯豊山荘先の駐車場に戻った。

笹薮を抜けて登山道に出た

赤渋沢は両隣の沢とは全く異質の沢で、中流部まではこの沢自体それほどの高度差があるのかと思えるほど大きな滝がいくつも懸っており、それ以外の滝もCSや険しい側壁に阻まれて直登が難しいものが多い。日程に余裕があれば、もう少し沢への下降を試みることができたかもしれないが、少なくとも二日間で遡行から下山までしなければならないことを考えると、今回のルート取りとなったのはやむを得ないと思う。

 

同行者の記録

遡行図


山行最終日:2017年8月15日
メンバー:長島(L) 丸山
山域: 飯豊連峰 加治川
山行形態: 沢登り
コースタイム:
12日:飯豊山荘(6:55)-石転び沢出合(9:10)-梅花皮小屋(11:55)
13日:梅花皮小屋(8:15)-北股岳(8:40)-中峰(10:00)-孫左衛門沢出合(12:05/25)-洗濯沢出合(13:25)
14日:洗濯沢出合(6:10)-赤渋沢出合(6:35/55)-一回目高巻終了点:30M滝上(8:55)-二回目高巻終了点:30M滝上(11:25)-三回目高巻終了点:1250M付近(15:20)-幕場:1400M付近(17:45)
15日:幕場:1400M付近(6:10)-登山道(8:30)-梅花皮小屋(9:35/55)-門内小屋(11:00/12:45)-飯豊山荘(16:05)
地形図:長者原・飯豊山・二王子岳
報告者:長島

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